
4月28日、ラグジュアリーブランド大手のケリングは、グループ初となる「ウォーターポジティブ戦略」を公開し、2050年までにネット・ウォーターポジティブな影響を実現することを明らかにした。さらに、2035年までにはサプライチェーン上の重要なホットスポット領域で定量的なネット・ポジティブ水インパクトを達成することを掲げている。
この新戦略は、ケリングの科学的根拠に裏打ちされたサステナビリティ方針の次なる段階であり、気候・自然・水資源が本質的に相互に結びついているとの認識のもと、グループのバリューチェーンにおける水リスクの低減を目指すものだ。これにより、生態系機能の再生、地域社会との協働機会の創出、サプライチェーン地域のレジリエンス強化など、さまざまな形でプラスの相乗効果が見込まれる。
ケリングは、とりわけ活動と密接に関係する10の重点水域に注力し、科学的根拠に基づく淡水目標に沿って、現地のステークホルダーと連携しながら水資源の質・量・アクセス性の大幅な向上を目指す方針だ。
現場での実効的な変革を後押しするため、ケリングは次の3つの重要プログラムを導入する。
第一に、「ウォーターポジティブ原材料」プログラムでは、リサイクル素材や新規代替素材、またリジェネラティブ農業由来の原材料を積極的に調達し、自然や水資源への負荷を軽減しつつ、汚染削減や流域再生につなげる。
第二に、「ウォーターポジティブ・スチュワードシップ・プログラム」により、グループ自社拠点およびサプライチェーン全体での水管理を高度化。戦略的サプライヤーと連携し、クロムフリーや低負荷ななめし剤など革新的技術・ベストプラクティスを取り入れることで、水利用効率向上と環境負荷低減を図る。
第三に、「ウォーター・レジリエンス・ラボ」の設置を通じ、2035年までに10の重点水域すべてで事業活動と地域社会を巻き込んだ水資源の再生・強靭化に取り組む。最初のラボは2025年秋、トスカーナ州アルノ河流域に開設予定で、同地はケリングのなめし工場やサプライヤー、他の高級ブランドや製造業も集積する国際的な重要水域となっている。
ケリングのチーフ・サステナビリティ&インスティテューショナル・アフェアーズ・オフィサー、マリー=クレール・ダヴュー氏は「企業の水管理責任がこれまで以上に問われている。削減だけでなく、生態系と水資源を再生・強化するウォーターポジティブな取り組みに移行することが不可欠」と強調し、「地域社会と連携した取り組みを通じて、社会・環境・経済のレジリエンスを高め、清浄な水の確保に貢献していく」と述べた。
(原文)Kering unveils its first dedicated water strategy for a net positive impact by 2050
(日本語参考訳)ケリング、2050年までの純増を目指す初の水戦略を発表