グラビティ、シリーズA資金調達で1,300万ドルを確保

1月21日、大手企業向けの炭素会計およびエネルギー管理プラットフォームを提供するグラビティは、1,300万ドルのシリーズA資金調達を発表した。本ラウンドは、Ansa Capitalが主導し、既存の投資家であるEclipse、Hanover、Caffeinated Capital、新たに参加したCommunitas Capital、Buoyant Ventures、WEX Venture Capitalが加わった。また、Ansa Capitalの共同設立者兼マネージングパートナーであるマルコ・デマイレレス氏がグラビティの取締役会に参加することも発表された。

近年、企業に求められる炭素報告義務が急増する中で、多くのサステナビリティチームは報告作業に多大な時間とリソースを割きながらも、ビジネスインパクトを十分に実現できていない状況が続いている。グラビティはこの課題に対応するため、データ収集と報告を自動化する炭素管理ソリューションを提供している。同社のプラットフォームは、顧客がエネルギー消費やサプライチェーンのデータをシームレスに統合し、報告作業を効率化すると同時に、実用的なビジネス価値を引き出す仕組みを実現している。

グラビティのCEO兼共同創設者であるサレハ・エルハッタブ氏は次のように述べている。

「持続可能な情報開示は、多くの場合、手間のかかる雑務と見なされています。グラビティは、既存のコストセンターであるエネルギー消費やサプライチェーンのデータを活用し、自動化された監査対応のレポートを提供することで、これらのプロセスを価値創造に変えることを目指しています。」

グラビティのプラットフォームは、手動入力を必要とせず、AIを活用したデータ収集と分析により、顧客の報告作業を劇的に削減する。例えば、ある顧客は年間4,600時間(578日分)の作業時間を削減したと報告している。

TTIのグローバルサステナビリティリーダーであるメレディス・スミス氏は、グラビティのソリューションを次のように評価している。

「グラビティは、データ収集の完全自動化と気候変動戦略に関する専門知識を兼ね備えています。200拠点にわたる排出量データを数週間で収集し、初のScope 3フットプリントを6カ月未満で完了させることができました。」

他にも、ウィスコンシン・アルミニウム・ファクトリーは、グラビティを活用して年間40万ドル以上のコスト削減を実現した。また、中西部の公益事業では、HVAC最適化プロジェクトにより年間200万ドル以上のコスト削減が達成された。

グラビティは今回の資金調達により、以下の領域でさらなる進化を図る計画である。

  • 製品の研究開発:エネルギー効率化のためのマーケットプレイスを拡大し、顧客が脱炭素化プロジェクトを簡単に特定・実行できるようにする。
  • 市場の拡大:米国およびEU市場でのチーム拡大を通じて、新たな規制報告要件に対応。
  • 新規パートナーシップの構築:エネルギー効率化や脱炭素化を促進するための新たなパートナーシップを開発。

Ansa Capitalのマルコ・デマイレレス氏は次のように述べている。

「グラビティは、炭素会計を価値創造の源泉に変える初めてのプラットフォームです。彼らのソリューションは、業界に革新をもたらし、前年比400%の収益成長を達成しています。」

グラビティの炭素会計プラットフォームは、企業が排出量削減を推進しつつ、実際のビジネス価値を生み出すための強力なツールとして注目されている。今回の資金調達を機に、グラビティはさらなる成長と市場拡大を目指し、持続可能な未来の実現に貢献することを目指している。

【参照ページ】
(原文)Gravity Announces $13M in Series A Funding to Automate Reporting and Accelerate Energy Optimization
(日本語参考訳)グラビティ、レポーティングの自動化とエネルギー最適化の加速を目指し、シリーズAで1,300万ドルの資金調達を発表

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