IPSASB、公共セクター向け気候関連開示基準の草案を発表

10月31日、ニューヨーク発—国際公共セクター会計基準審議会(IPSASB)は、世界初の公共セクター向け気候関連開示基準草案を発表し、コメントの募集を開始した。この基準は各国政府が気候変動対策への責任を果たすために必要な透明性を提供するもので、世界銀行の支援を受けて開発された。

IPSASB会長イアン・キャラザースは「気候変動対策には公共セクターの行動が不可欠であり、政府が政策ツールを駆使して経済全体の行動を促進できる」と述べた。コロナ禍後の財政状況が逼迫する中、強化された公共財政管理は一部のリソースを提供できるが、資本市場の支援が欠かせない。IPSASBの基準は、政府が一貫した、比較可能な情報を提供することで資本市場へのアクセスを維持する一助となる。

本基準「SRS ED 1」は、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)のグローバルベースラインに基づき、公共セクター特有のガイダンスを提供している。ISSB副会長スー・ロイド氏は「公共セクターが高品質で比較可能なサステナビリティ情報を開示することは、投資家の情報ニーズを満たすために重要である」と述べた。

IPSASBは、公共セクター関係者や会計士、サステナビリティ保証提供者に、2025年2月28日までに意見を提出するよう呼びかけている。また、11月13日には基準の発表を記念するオンラインイベントを開催する予定である。

【参照ページ】
(原文)IPSASB Issues Draft of Groundbreaking Climate-related Disclosures Standard for the Public Sector
(日本語参考訳)IPSASB、公共部門向けの画期的な気候関連開示基準の草案を発表

関連記事

おすすめ記事

  1. 【最新】TISFDとは?概要・指標から国内外基準との関連まで徹底解説

    2025-9-11

    【最新】TISFDとは?概要・指標から国内外基準との関連まで徹底解説

    気候変動や自然資本など、環境領域に関する開示が進みつつある中、次なるテーマは「社会」の領域。TIS…
  2. 2025-8-14

    特別対談:TISFD運営委員・木村武氏 × シェルパCSuO中久保菜穂 「サステナビリティ情報開示の新潮流:TISFDが示す設計思想と、日本企業の対応意義を問う」(前編)

    本記事は、ESG Journal を運営するシェルパ・アンド・カンパニー株式会社のCSuOが、サス…
  3. 2025-8-14

    特別対談:TISFD運営委員・木村武氏 × シェルパCSuO中久保菜穂 「サステナビリティ情報開示の新潮流:TISFDが示す設計思想と、日本企業の対応意義を問う」(後編)

    本記事は、ESG Journal を運営するシェルパ・アンド・カンパニー株式会社のCSuOが、サス…

ピックアップ記事

  1. 2025-10-29

    イベントレポート サステナビリティ経営フォーラム2025

    『本質に迫る対話とデータ活用 ~信頼を築く情報開示と戦略の再構築~』 ESG Journal…
  2. 【2026年本格適用】CBAM(炭素国境調整メカニズム)への実務対応ガイド

    2025-10-27

    【2026年本格適用】CBAM(炭素国境調整メカニズム)への実務対応ガイド

    2026年1月からEUでは炭素国境調整メカニズム(Carbon Border Adjustment…
  3. 2025-10-27

    GRIとCDP、環境報告の共通化へ―新マッピングでデータ活用を促進

    10月21日、国際的なサステナビリティ報告基準を策定するGlobal Reporting Init…

““登録01へのリンク"

ページ上部へ戻る