自然資本専門の資産運用会社が10億ドル以上を調達と発表

9月20日、HSBC Asset ManagementとPollinationが共同設立した自然資本専門の資産運用会社Climate Asset Managementは、Natural CapitalおよびNature Based Carbon Fundsの最終資金調達を完了し、AppleのRestore Fundと共に10億ドル以上を調達したと発表した。

資金は、再生型農業・サステナブルな森林管理・途上国での大規模な自然景観修復プロジェクトなどに投じられ、既に世界で200万ヘクタール以上の土地の改善を目指しているという。具体的なプロジェクトは以下の通りである。

  • オーストラリアでのサトウキビ生産農地を世界最大級のマカダミア農園へ転換する再生農業プロジェクト
  • ニュージーランドにおける8,000ヘクタールのサステナブルな森林管理プロジェクト
  • スペインとポルトガルにて3,000ヘクタール以上の農園への再生型管理手法の導入
  • マサイ族のコミュニティと迅速な輪換放牧を導入することで90万ヘクタールの土地を回復することを目標とした、強靭な生計と生物多様性を生み出す高い可能性を秘めたプロジェクト
  • ケニア・ウガンダ・マラウィの小規模農家と協力し、食料安全保障を改善し、地域社会に収入をもたらすため、劣化した土地を回復するプロジェクト

また、この資金調達はAppleのサプライチェーン企業であるTSMCや村田製作所も参加しており、AppleのRestore Fundを通じて投資が行われている。同社はパリ協定やKunming-Montreal Global Biodiversity Frameworkなどの国際政策枠組みに沿った戦略を採用しており、自然資本を保護する責任を担う投資家としての役割を果たしている。Climate Asset Managementは、2030年までにカーボンネガティブとネイチャーポジティブを目指す計画を掲げており、2025年には新たな資金調達を予定している。

【参照ページ】
(原文)Climate Asset Management secures commitments in excess of $1 billion for natural capital projects
(日本語参考訳)クライメート・アセット・マネジメントは、自然資本プロジェクトに10億ドルを超えるコミットメントを確保

関連記事

おすすめ記事

  1. 2025-8-14

    特別対談:TISFD運営委員・木村武氏 × シェルパCSuO中久保菜穂 「サステナビリティ情報開示の新潮流:TISFDが示す設計思想と、日本企業の対応意義を問う」(前編)

    本記事は、ESG Journal を運営するシェルパ・アンド・カンパニー株式会社のCSuOが、サス…
  2. 2025-8-14

    特別対談:TISFD運営委員・木村武氏 × シェルパCSuO中久保菜穂 「サステナビリティ情報開示の新潮流:TISFDが示す設計思想と、日本企業の対応意義を問う」(後編)

    本記事は、ESG Journal を運営するシェルパ・アンド・カンパニー株式会社のCSuOが、サス…
  3. 【新着】ESRS改訂の全体像と今後への示唆ートピック別の変更点の整理ー

    2025-8-6

    【新着】ESRS改訂の全体像と今後への示唆ートピック別の変更点の整理ー

    ※本記事は、2025年7月31日時点の情報を元に作成している。今後の動向により内容は随時更新される…

ピックアップ記事

  1. ESGフロントライン:米SEC委員長がサステナビリティ開示基準へ懸念を表明

    2025-9-15

    ESGフロントライン:米SEC委員長がサステナビリティ開示基準へ懸念を表明

    ※本記事は、ESG Journal編集部が注目のニュースを取り上げ、独自の視点で考察しています。 …
  2. 2025-9-12

    ISOとGHGプロトコル、温室効果ガス基準を統合へ 世界共通言語の構築目指す

    9月9日、ISO(国際標準化機構)とGHGプロトコルが、既存のGHG基準を統合し、新たな排出量算定…
  3. 2025-9-12

    カリフォルニア州、気候関連財務リスク報告の指針を公表

    9月2日、カリフォルニア大気資源局(CARB)は「気候関連財務リスク開示ドラフト・チェックリスト」…

““登録01へのリンク"

ページ上部へ戻る