Morningstar、TCFD開示のメリットや重要性に関するコラムを発表

8月27日、金融・経済情報の提供を行うMorningstarは、TCFD(気候関連財務情報タスクフォース)開示のメリットや重要性に関する新たなコラムを発表した。

2015年に設立されたTCFDは、金融市場の参加者が資本配分に関するより良い意思決定を行えるよう、明確で透明な気候報告基準を作成することを目的としている。2023年10月に最終報告書を提出した後、TCFDの監視責任は国際財務報告基準(IFRS)に移行した。

TCFDの報告要件は、ガバナンス・戦略・リスク管理・指標と目標の4つのテーマ領域に焦点を当てている。ガバナンスでは、組織が気候関連のリスクと機会をどのように監督するかを示し、戦略では、気候関連のリスクが組織のビジネス、戦略、財務計画に与える影響を評価する。リスク管理では、組織が気候関連のリスクをどのように特定、評価、管理するかを示し、指標と目標では、気候関連のリスクと機会をどのように測定し追跡するかを示す。

Morningstarによると、気候変動の影響を懸念する投資家が増える中、気候関連情報に焦点を当てたファンドへの需要が高まっているという。2023年には、ヨーロッパに拠点を置く気候ファンドの資産が4530億ドル(約65.7兆円)に達した。特にミレニアル世代やZ世代の投資家は、サステナブルな金融目標に強い関心を持っており、気候に配慮した戦略を持つ資産運用マネージャーは、これらの新しいクライアントを引きつける上で有利である。

さらにMorningstarは、TCFD報告は資産運用マネージャーがクライアントの価値観と投資を一致させるための重要なツールであるとしている。気候変動は多くの消費者にとって最も重要で差し迫ったサステナビリティ関連の問題であり、透明性の向上が求められている。したがって、気候変動に配慮した戦略を開発し、それを明確に伝えることができる資産運用マネージャーは、次世代の投資家を引きつける上で有利である。

【参照ページ】
(原文)TCFD Reporting: How to Win Over Climate-Conscious Clients

関連記事

おすすめ記事

  1. 2025-7-2

    シェルパ、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)理事・小森氏をゲストにウェビナー「ISSBが示すサステナビリティ情報開示の考え方」を実施

    - ISSB基準に関する最新動向から企業価値向上に向けた戦略的情報開示についてまで、講演と対談を通…
  2. ウェルビーイングとは?5つの要素から企業に求められる対応を解説

    2024-5-15

    ウェルビーイングとは?5つの要素から企業に求められる対応を解説

    上場企業であれば気候変動の情報開示が当たり前になってきたのと同じく、人材のウェルビーイングの実現に…
  3. CSRDとは。日本企業に与える影響と今すぐできる対応を紹介。

    2024-5-7

    CSRDとは。日本企業に与える影響と今すぐできる対応を紹介。

    CSRD(Corporate Sustainability Reporting Directive…

ピックアップ記事

  1. GRI労働関連基準の改訂状況と人的資本開示との対応関係を解説

    2025-7-7

    GRI労働関連基準の改訂状況と人的資本開示との対応関係を解説

    GRI(Global Reporting Initiative:グローバル・レポーティング・イニシ…
  2. 2025-7-7

    ノルウェー政府、2035年に温室効果ガス70〜75%削減目標を提出

    6月26日、ノルウェー政府は、パリ協定の下で2035年に向けた新たな国が決定する貢献(NDC)を国…
  3. 2025-7-7

    ネスレのカカオ農家支援、所得向上に成果―悪天候下でも収量増、対象5万世帯へ拡大

    6月25日、食品大手ネスレは、西アフリカで展開するカカオ農家の所得向上支援プログラムが、参加世帯の…

““登録02へのリンク"

ページ上部へ戻る