EFRAGとGRI、ESRSとGRI基準の高い相互運用性を確認

9月4日、欧州財務報告諮問グループ(EFRAG)とグローバル・リポーティング・イニシアティブ(GRI)は、欧州サステナビリティ報告基準(ESRS)とGRI基準との間で高水準の相互運用性を達成したことを確認する声明を発表した。

高い相互運用性の達成により、多くの企業にとってサステナビリティ情報開示の負担が大幅に軽減され、「二重報告」、すなわち2つの別々の基準に従ってサステナビリティ関連情報を開示する必要がなくなる見込みである。

EFRAGが作成し、7月に欧州委員会が正式に採択したESRSは、EUの次期企業サステナビリティ報告指令(CSRD)に基づき、企業がサステナビリティに関連する影響、機会、リスクを報告するための規則と要件を定めたものである。CSRDは、2024年初頭から適用が開始される予定で、サステナビリティの開示が求められる企業数は、現在の約12,000社から50,000社以上に大幅に拡大され、環境、人権、社会基準、サステナビリティ関連のリスクに対する企業の影響について、より詳細な報告要件が導入される。

GRIサステナビリティ・レポーティング・スタンダードは、企業によるサステナビリティ報告のための最も一般的に受け入れられているグローバル・スタンダードのひとつであり、企業や業界を超えた一貫した報告を可能にし、ステークホルダーに対してサステナビリティに関するより明確なコミュニケーションを提供するために開発された。GRIは2021年に基準の大幅な更新を発表した。

本声明は、GRIとEFRAGが2021年に発表した、EUのサステナビリティ報告基準の開発とグローバル基準とのコンバージェンス支援のための協力協定に続くものである。

両基準の間で整合性が強調されている重要な分野のひとつは、二重の重要性アプローチ、すなわち、サステナビリティの問題が企業にどのような影響を与えるか、また、企業が社会や環境に与える影響についての情報を開示することを求めていることである。

声明によると、ダブル・マテリアリティ・アプローチが導入され、CSRDが既存の基準を考慮するよう求めていることから、「ESRSとGRIの定義、概念、影響に関する開示は完全に、あるいはCSRDの指令の内容により完全な整合性がとれない場合は、密接に整合している」という。

各団体は、高レベルの相互運用性が達成されたことで、すでにGRIのもとで報告を行っている企業は、ESRSの報告に向けて十分な準備ができるとし、「ESRSのもとで報告を行っている企業は、GRI基準を参照して報告を行っているとみなされる」と付け加えた。

【参照ページ】
(原文)EFRAG-GRI JOINT STATEMENT OF INTEROPERABILITY
(日本語訳)EFRAGとGRI、ESRSとGRI基準の高い相互運用性を確認、二重報告の懸念を回避

関連記事

“セミナーへのリンク"

おすすめ記事

  1. ウェルビーイングとは?5つの要素から企業に求められる対応を解説

    2024-5-15

    ウェルビーイングとは?5つの要素から企業に求められる対応を解説

    上場企業であれば気候変動の情報開示が当たり前になってきたのと同じく、人材のウェルビーイングの実現に…
  2. CSRDとは。日本企業に与える影響と今すぐできる対応を紹介。

    2024-5-7

    CSRDとは。日本企業に与える影響と今すぐできる対応を紹介。

    CSRD(Corporate Sustainability Reporting Directive…
  3. ESG投資とは。改めて考える重要性とESG経営のメリット・今後の課題

    2024-4-30

    ESG投資とは。改めて考える重要性とESG経営のメリット・今後の課題

    ESG投資の流れは国内外において拡大を続けている分野であり、注目を集めている。投資家のニーズに応え…

ピックアップ記事

  1. 2024-12-6

    金融庁、「記述情報の開示の好事例集2024(第1弾)」を発表:サステナビリティに関する開示を強化

    11月8日、金融庁は「記述情報の開示の好事例集2024(第1弾)」を公表した。本事例集は、企業がサ…
  2. 2025年に向けたESG投資とインパクト投資の動向予測と戦略

    2024-12-4

    2025年に向けたESG投資とインパクト投資の動向予測と戦略

    2024年は、サステナビリティ分野において大きな変化が見られた年である。米国ではトランプ前大統領が…
  3. 2024-12-4

    EU、強制労働製品の市場禁止規制を採択

    11月19日、欧州理事会は強制労働で生産された製品をEU市場での販売や輸出を禁止する規制を採択した…

““登録02へのリンク"

ページ上部へ戻る