「ヒューマン・サステナビリティ(ウェルビーイング)」に関する調査結果を発表(Deloitte)
6月18日、グローバル・プロフェッショナル・サービス・ファームであるDeloitteは新たに職場環境に関する調査結果を発表した。
同社は、職場のウェルビーイングが企業の成功に関して重要であると考えており、特に、従業員の燃え尽き症候群や精神的健康の低下、職場の暴力、極端な気象事象などの課題の増加に注目している。これらの問題に対処するため、企業はヒューマン・サステナビリティに焦点を当てる必要があるとした。ヒューマン・サステナビリティとは、従業員の健康やスキルの向上、雇用機会の提供、公平性の向上、目的意識の強化などを通じて、従業員の価値を高めることを指す。
同社は、独立系調査会社Workplace Intelligenceと共同で3,150人の経営幹部、マネージャー、従業員を対象に調査を行い、ヒューマン・サステナビリティに対する現在の見解を調査した。調査結果によると、多くの経営者がヒューマン・サステナビリティを優先し、進捗に対する説明責任を組織に課すことが重要であると認識していた。
しかし、実際の状況と経営者の認識には大きなギャップがあるといえる。調査結果によると、従業員の43%が現在の組織で働くことが自分にとってプラスになっていると感じておらず、多くの従業員が燃え尽き症候群やストレスを感じていると回答。さらに、従業員のウェルビーイングが向上していると感じていると回答したのは56%であった。対して、経営幹部の多くは、従業員に比べて自社がすでに人間の持続可能性を取り入れていると感じる傾向がはるかに高かった。同社はこのギャップを埋めるためには、経営者が従業員調査やフォーラム、インタビュー、フォーカスグループなどを通じて従業員の声を聞き、ニーズや価値観を理解し、協力して取り組むことが重要だとした。
調査によると、経営者は、次のステップとしてヒューマン・サステナビリティを推進するための指標を設定し、公表することが求められるとした。さらに、経営者の報酬をヒューマン・サステナビリティに関連する目標に結び付けることも有効であるという。調査によると、経営幹部の82%、マネージャーの83%、従業員の76%が、報酬の少なくとも25%をヒューマン・サステナビリティに関連する指標と連動させたいと考えている。
また、ヒューマン・サステナビリティを推進するためには、単なるプログラムや福利厚生だけでなく、職場環境を向上させるための具体的な取り組みが必要であるという。調査によると、従業員の52%は公正な給与を受け取ることがウェルビーイングの向上に大いに役立つと感じている。
同社は、この調査報告を通じて、ヒューマン・サステナビリティに焦点を当てることは、企業にとって長期的な利益をもたらす可能性があるとし企業は、従業員を単なる資源としてではなく、価値を創造する主体として捉え、包括的なアプローチを取るべきだと示した。
【参照ページ】
(原文)The important role of leaders in advancing human sustainability
(日本語参考訳)人類の持続可能性を推進するリーダーの重要な役割