EU理事会、建築物エネルギー性能指令改正案を可決

4月12日、EU加盟国閣僚級のEU理事会が、建築物エネルギー性能指令改正案を可決した。この改正案はすでに欧州議会を通過しており、成立が確定した。EU加盟国は24ヶ月以内にこの指令の内容を国内法化することが求められている。

この改正の目的は、2030年までにすべての新築物件をゼロエミッション化し、2050年までにはすべての既存物件をゼロエミッション化することである。

住宅と非住宅における目標達成のために、異なるルールが設けられた。住宅においては、2030年までに平均一次エネルギー使用量を16%削減し、2035年までに20%から22%削減する国内目標が設定される。一方、非住宅建築物には「最低エネルギー性能基準」が導入され、改築義務が課される。

さらに、建築物のゼロエミッション化を達成するため、化石燃料による温室効果ガス排出が禁止される。また、太陽光発電パネルの設置が原則義務付けられ、他にもEV充電スタンドや自転車用の駐車スペースの設置が必要とされる。

既存物件の改修を促進するため、「建築物改修パスポート」制度が導入され、テナントや居住者の保護も強化される。

EU加盟国には「国家建築物改修計画」の策定が義務化され、その内容は欧州委員会に提出される。計画案の初回提出期限は2025年12月となっている。

【参照ページ】
(原文)Towards zero-emission buildings by 2050: Council adopts rules to improve energy performance

関連記事

おすすめ記事

  1. ウェルビーイングとは?5つの要素から企業に求められる対応を解説

    2024-5-15

    ウェルビーイングとは?5つの要素から企業に求められる対応を解説

    上場企業であれば気候変動の情報開示が当たり前になってきたのと同じく、人材のウェルビーイングの実現に…
  2. CSRDとは。日本企業に与える影響と今すぐできる対応を紹介。

    2024-5-7

    CSRDとは。日本企業に与える影響と今すぐできる対応を紹介。

    CSRD(Corporate Sustainability Reporting Directive…
  3. ESG投資とは。改めて考える重要性とESG経営のメリット・今後の課題

    2024-4-30

    ESG投資とは。改めて考える重要性とESG経営のメリット・今後の課題

    ESG投資の流れは国内外において拡大を続けている分野であり、注目を集めている。投資家のニーズに応え…

ピックアップ記事

  1. 2025-5-16

    EBA、EU域内銀行の気候リスク指数を初公開

    4月25日、欧州銀行監督機構(EBA)は25日、EUおよびEEA(欧州経済領域)域内の銀行セクター…
  2. 2025-5-16

    米国グリーンビルディング協会、持続可能な建築基準「LEED v5」を発表

    4月28日、米国グリーンビルディング協会(USGBC)はLEED(Leadership in En…
  3. 2025-5-14

    ニューヨーク市会計監査官、新たな排出削減基準を発表

    4月22日、ニューヨーク市会計監査官(Comptroller)のBrad Lander氏は、アース…

““登録01へのリンク"

ページ上部へ戻る