国連責任投資原則(PRI)が機関投資家向けに生物多様性投資方針ガイドを発行

3月26日、国連責任投資原則(PRI)は、機関投資家向けの生物多様性投資方針策定ガイドを発行した。このガイドは、責任投資方針(ESG投資方針)の一環として、生物多様性の観点で記載すべき内容を整理している。

PRIがまとめた今回のガイドは、PRI署名機関の生物多様性方針の分析や署名機関へのインタビュー、PRIのネイチャー・リファレンス・グループからのフィードバックなど、デスクトップ調査に基づいて作成された。

生物多様性は、世界のGDPの約半分が、健全な自然システムによって実現される生態系サービスに依存しているため、機関投資家にとって重要である。投資家は生物多様性の損失による物理的リスクや、危機に対する政策、技術、消費者心理の変化による移行リスクに直面している。一方で、生態系サービスを再生させることには投資機会が存在する。

ガイドでは、生物多様性方針を策定する前の準備段階で考慮すべき3つのポイントをまとめている。具体的には、組織的アプローチの策定、組織的理解の構築、および策定すべき方針の種類について説明されている。

さらに、生物多様性方針に盛り込むべき内容として、目的・範囲・コミットメント、ガバナンス、定義、アプローチ手法、目標設定と戦略、リスクと機会のマネジメント、モニタリングと開示の手法が特定され、各項目での参考情報も提供されている。

【参照ページ】
(原文)Developing a biodiversity policy: A technical guide for asset owners and investment managers
(日本語参考訳)生物多様性方針の策定 アセットオーナーと投資マネージャーのためのテクニカルガイド

関連記事

おすすめ記事

  1. ウェルビーイングとは?5つの要素から企業に求められる対応を解説

    2024-5-15

    ウェルビーイングとは?5つの要素から企業に求められる対応を解説

    上場企業であれば気候変動の情報開示が当たり前になってきたのと同じく、人材のウェルビーイングの実現に…
  2. CSRDとは。日本企業に与える影響と今すぐできる対応を紹介。

    2024-5-7

    CSRDとは。日本企業に与える影響と今すぐできる対応を紹介。

    CSRD(Corporate Sustainability Reporting Directive…
  3. ESG投資とは。改めて考える重要性とESG経営のメリット・今後の課題

    2024-4-30

    ESG投資とは。改めて考える重要性とESG経営のメリット・今後の課題

    ESG投資の流れは国内外において拡大を続けている分野であり、注目を集めている。投資家のニーズに応え…

ピックアップ記事

  1. 2025-7-1

    カナダ年金基金、2030年までに4,000億ドルの気候投資

    6月19日、カナダの大手機関投資家であるケベック州貯蓄投資公庫(CDPQ)は、2050年ネットゼロ…
  2. 2025-7-1

    GRI、サステナビリティ報告のデジタル化を促進する新「サステナビリティ・タクソノミー」を発表

    6月19日、GRI(Global Reporting Initiative)は、新たに「GRI S…
  3. GRI 102/103 新基準の実務チェックポイント:IFRS/ISSB基準と一部整合へ

    2025-6-30

    GRI 102/103 新基準の実務チェックポイント:IFRS/ISSB基準と一部整合へ

    サステナビリティ情報開示における基準間の整合性の確保は、ますます重要な課題となっている。CSRD(…

““登録03へのリンク"

ページ上部へ戻る