日本政府と産業界、ネイチャーポジティブ経済への移行を目指す戦略を発表

3月29日、日本の環境省、農林水産省、経済産業省、国土交通省は、「ネイチャーポジティブ経済移行戦略」を発表した。この戦略は、日本政府が2023年3月に閣議決定した「生物多様性国家戦略2023-2030」と環境省が同じく2023年3月に策定した「生物多様性民間参画ガイドライン(第3版)」をつなぐものであり、企業がネイチャーポジティブ化を実現する経営の在り方を示している。

この戦略では、2030年までに大企業の5割が取締役会や経営会議で生物多様性に関する報告や決定がなされている状態にすることを目標として掲げている。さらに、中小企業も含めた広範な参加を促すため、「ネイチャーポジティブ宣言」の宣言・賛同団体数が1,000団体となることを目指している。

ネイチャーポジティブ経営への移行に当たって、企業が抑えるべき要素として以下の5つが挙げられている。

  1. 足元の負荷の軽減
  2. 総体的な負荷軽減に向けた一歩ずつの取組み
  3. 損失のスピードダウンの取組み
  4. 消費者ニーズの創出・充足
  5. 地域価値の向上に貢献

ネイチャーポジティブ経営がもたらす事業機会やリスクについては、世界経済フォーラム(WEF)のレポートを参考にしている。国によるネイチャーポジティブ経営のバックアップとしては、リスクの特定に関するデータ整備や目標設定に関する支援、開示に関する支援などが挙げられている。

【参照ページ】
ネイチャーポジティブ経済移行戦略の公表について

関連記事

“導入事例へのリンク"

おすすめ記事

  1. 2024-4-16

    SSBJ公開草案の重要ポイント解説:今後の気候変動の情報開示はどう動くか

    2024年3月29日、サステナビリティ基準委員会(SSBJ)が国内のサステナビリティ開示基準の草案…
  2. 2024-4-9

    SBTN(Science-Based Targets for Nature)とは。企業のネイチャーポジティブ経営を実現する目標設定の方法論を解説。

    TNFDのフレームワークが公開され、先進企業ではフレームワークに基づく情報開示が進みつつある(20…
  3. 2024-4-2

    【さくっと読める】TNFDの開示とは。重要ポイントを抽出。

    2023年9月、TNFDのフレームワークが完成し公開された。2023年時点でTNFDに基づく開示を…

ピックアップ記事

  1. アップルのサプライチェーンの95%、2030年までに100%再生可能エネルギー使用を約束

    2024-4-25

    アップルのサプライチェーンの95%、2030年までに100%再生可能エネルギー使用を約束

    4月17日、アップルは、バリューチェーンの脱炭素化という目標に向けて大きく前進していることを発表し…
  2. 2024-4-24

    ダウとP&G、プラスチック・リサイクル技術の共同開発契約を締結

    3月25日、 米国の化学世界大手であるダウと消費財業界大手のP&Gは、プラスチック・リサ…
  3. 2024-4-24

    住商グループとパートナー企業、太陽光発電パネルの再利用・リサイクル実証実験に着手

    3月28日、住友商事、三井住友ファイナンス&リース(SMFL)、SMFLみらいパートナーズ…

ページ上部へ戻る