KPMG:米国CEOの過半数が3~5年以内にサステナビリティ投資から大きなリターンを期待

KPMG:米国CEOの過半数が3~5年以内にサステナビリティ投資から大きなリターンを期待

4月11日、プロフェッショナル・サービス会社KPMG USが発表した新しい調査によると、米国のCEOの大半は、3〜5年以内に自社のサステナビリティ投資から大きなリターンが得られると期待しており、企業リーダーは、インフレやサプライチェーンの課題、Gen AI関連の機会に直面しても、引き続きESGを経営上の最優先課題として位置づけている。

この調査「2024年KPMG米国CEO展望調査」では、KPMGが年間売上高5億ドル(約822億円)以上の大企業のCEO100人(うち3分の1が売上高100億ドル(約1.6兆円)以上)を対象に、事業成長を推進し、目先のリスクと経済構造変化の組み合わせを管理する上での主な課題と機会について調査した。

この調査では、AIから人材管理まで、さまざまな要因について検討する一方で、ESGイニシアティブの実行が依然としてCEOの経営上の最優先事項であり、回答者の17%が挙げていることが明らかになった。次いで、資本コストと投入コストのインフレ対策が14%、デジタル化とコネクティビティの推進、サプライチェーンの俊敏性と回復力の向上、顧客体験の向上がそれぞれ11%だった。

調査によると、CEOは、取り組みや投資が財務的リターンをもたらすと期待されていることから、ESGに引き続き注目している。調査によると、CEOの55%が3~5年以内にサステナビリティ投資から「大きなリターン」が得られると回答しており、19%は早ければ1~3年で大きなリターンが得られると予想している。また、25%は5〜7年と、より長い期間を見込んでいる。

この調査では、CEOが持続可能性への取り組みで優先的に取り組む分野も評価され、「オペレーション」が回答者の42%でトップ、次いで「製品」が24%、「ガバナンス・モデル」と「ベスト・プラクティス・レポートなどの透明性プロトコル」が16%だった。

その他の主な調査結果としては、CEOの自信の高さが挙げられ、87%が米国経済の成長見通し、78%が自社の成長見通しに自信を持っていると回答している。

同調査ではまた、生成AIの機会と課題に関するCEOの見解も調査しており、41%が今後1年間でジ生成AIへの投資を増やす予定である一方、38%がその展開における最重要課題として倫理的問題を挙げている。AIの責任ある利用について、CEOは一連の対策を実施する予定であり、これには、消費者がコンテンツの出典を知ることができるよう、81%が「生成AIの支援により作成された」などの開示を使用すると報告し、63%がデータの匿名化技術を含むプライバシー対策を実施し、49%が生成AIに関する明確な倫理指針の確立を計画していることが含まれる。

【参照ページ】
(原文)KPMG Study: CEOs tackling risks to growth including geopolitics, cyber and structural changes such as tight labor market, new regulations
(日本語参考訳)KPMG調査: 地政学、サイバー、逼迫する労働市場や新たな規制などの構造的変化など、成長へのリスクに取り組むCEOたち

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