ヒートポンプ技術の新興企業エバリ、約11億円を調達

ヒートポンプ技術の新興企業であるエバリは、750万ドル(約11億円)のシード資金を調達したと発表した。この資金は、民生用および産業用冷暖房システムの電化に向けた同社の技術の商業化に使用される。

ヒートポンプは、温室効果ガスの排出が少なく、化石燃料への依存を減らすことができるため、炉やエアコンに代わるエネルギー効率が高く、気候変動に優しい主要な代替手段として急速に台頭している。国際エネルギー機関(IEA)によると、ヒートポンプ・ヒートポンプは、2030年に世界のCO2排出量を少なくとも5億トン削減する可能性があるという。

今回の融資は、住宅の脱炭素化を目的とした政府の奨励策もあり、ヒートポンプの需要が伸びると予想される中で実施される。例えば、米国のインフレ抑制法では、ヒートポンプに対して多額のリベートと税額控除が提供されている。

2021年に設立されたニューハンプシャー州を拠点とするエヴァリ(旧MTT)は、電気自動車から住宅・商業用冷蔵、暖房に至る用途で重要な役割を果たすヒートポンプの駆動に使用できる、超音速でポケットサイズのターボコンプレッサを製造している。同社によると、エバリの技術はクリーンテック製造プロセスを使用しており、現在のヒートポンプ・コンプレッサーよりもエネルギー効率が最大50%高く、製造コストも低いという。

Clean Energy Venturesが主導し、Clean Energy Venture Group (CEVG)のエンジェル投資家とFarvatn Ventureが参加するエバリは、今回のシード資金調達により、チームの成長と製造能力の拡大が可能になると述べている。今回の資金調達の一環として、キャリア社で長年ターボ機械とエンジニアリングのリーダーを務めてきたクリス・クメッツ氏が、独立役員として参加することになった。また、ベテラン初期気候変動投資家であり、Clean Energy Venturesのベンチャーパートナーであるジョン・サントレリ氏もエバリの取締役会に加わる。

【参照ページ】
(原文)Evari Closes $7.5M Financing to Bring Next-Generation Heat Pump Turbocompressors to the Mass Market
(日本語参考訳)次世代ヒートポンプ・ターボコンプレッサーを大衆市場に投入するため、エバリが750万ドルの資金調達を完了

関連記事

おすすめ記事

  1. 2025-8-14

    特別対談:TISFD運営委員・木村武氏 × シェルパCSuO中久保菜穂 「サステナビリティ情報開示の新潮流:TISFDが示す設計思想と、日本企業の対応意義を問う」(前編)

    本記事は、ESG Journal を運営するシェルパ・アンド・カンパニー株式会社のCSuOが、サス…
  2. 2025-8-14

    特別対談:TISFD運営委員・木村武氏 × シェルパCSuO中久保菜穂 「サステナビリティ情報開示の新潮流:TISFDが示す設計思想と、日本企業の対応意義を問う」(後編)

    本記事は、ESG Journal を運営するシェルパ・アンド・カンパニー株式会社のCSuOが、サス…
  3. 【新着】ESRS改訂の全体像と今後への示唆ートピック別の変更点の整理ー

    2025-8-6

    【新着】ESRS改訂の全体像と今後への示唆ートピック別の変更点の整理ー

    ※本記事は、2025年7月31日時点の情報を元に作成している。今後の動向により内容は随時更新される…

ピックアップ記事

  1. 2025-9-16

    セブン&アイHD、TCFD・TNFD統合開示を公表 財務インパクトの試算と自然資本分析も深化

    9月8日、セブン&アイ・ホールディングスは、「気候・自然関連情報報告書―TCFD・TNFD統合開示…
  2. ESGフロントライン:米SEC委員長がサステナビリティ開示基準へ懸念を表明

    2025-9-15

    ESGフロントライン:米SEC委員長がサステナビリティ開示基準へ懸念を表明

    ※本記事は、ESG Journal編集部が注目のニュースを取り上げ、独自の視点で考察しています。 …
  3. 2025-9-12

    ISOとGHGプロトコル、温室効果ガス基準を統合へ 世界共通言語の構築目指す

    9月9日、ISO(国際標準化機構)とGHGプロトコルが、既存のGHG基準を統合し、新たな排出量算定…

““登録01へのリンク"

ページ上部へ戻る