ブラックロック、ESG政策を理由に1.3兆円の資産売却を決定したテキサス州を「無謀」とし、再考を促す

3月21日、ブラックロックは、テキサス州教育委員会がエネルギー企業への「ボイコット」とESG投資慣行の疑惑を理由に資産運用会社から85億ドル(約1.3兆円)の投資を引き揚げる決定を下したことに対し、ブラックロックのマーク・マコンベ副会長からアーロン・キンゼー教育委員長に宛てた書簡で反発し、この動きを「無謀」で「無責任」であるとし、決定を再評価するよう求めた。

ブラックロックは、テキサス州の決定に対する投稿の中で、この動きは「短期的な政治に関わるもの」であり、同州の学校と家庭のために「ブラックロックが一貫して長期的な投資パフォーマンスで上回っている」ことを無視していると述べた。

キンゼイは今週初め、ブラックロックの「ESG運動における圧倒的かつ持続的なリーダーシップ」を理由に、ブラックロックへの投資を終了する決定を発表した。キンゼイによると、ブラックロックへの投資打ち切りは、「特定のエネルギー企業をボイコットする金融企業への投資」を禁止する上院法案13として知られる2021年の法律にテキサス州の恒久学校基金(PSF)を遵守させるために決定されたものだという。キンジーはまた、ブラックロックのエネルギー企業に対する「破壊的なアプローチ」は「テキサス州民に対する受託者責任と相容れない」と主張した。

マッコムは書簡の中で、ブラックロックがエネルギー企業を差別しているという主張は「単なる虚偽」であるとし、同社が全世界で3,200億ドル(約50兆円)以上のエネルギー投資を保有しており、その中にはテキサス州のエネルギー・インフラへの多額の投資に加え、テキサス州の公共エネルギー企業への約1,200億ドル(約20兆円)の投資も含まれていると指摘している。

マッコム氏はまた、今回の決定は理事会の受託者責任に沿うものだとするキンゼイ氏の主張にも触れ、ブラックロックが20年近くにわたりファンドに対して「一貫して高いパフォーマンス」を上げてきたことを挙げ、その中にはブラックロックの国際マンデートが18年にわたりファンドのベンチマークを上回り、「テキサス州PSFに2億5,000万ドル(約370億円)を超える利益をもたらした」ことも含まれている。

【参照ページ】
(原文)BlackRock Says ‘Reckless’ Texas Divestment Is Bad for Schools
(日本語参考訳)ブラックロック、ESG政策を理由に1.3兆円の資産売却を決定したテキサス州を「無謀」とし、再考を促す

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