EU議会法務委員会、改正CSDDDを承認

3月19日、欧州議会の法務委員会は改正企業持続可能性デュー・ディリジェンス司令(CSDDD)を承認したと発表した。

今回承認された法案は、すでにEU議会と理事会で合意された旧版から加盟国によって大幅に縮小されていたもので、20対4の賛成多数で採択されたことで、企業が人権や環境、サプライチェーン全体に及ぼす悪影響に対処することを義務づける新ルールの最終的な成立に向けた重要なハードルがクリアされた。

CSDDDは当初、欧州委員会が2022年2月に提案したもので、上流のサプライチェーンや、流通やリサイクルなど一部の下流活動において、児童労働や奴隷制度から汚染や排出、森林伐採や生態系へのダメージに至るまで、人と地球に与える影響を特定、評価、予防、緩和、対処、是正するよう企業に定めたものである。

議会と理事会はこの新法について合意に達し、それぞれの機関による最終承認に向けて法案を送付した。しかし、ドイツがこの規則が企業に与える官僚的かつ潜在的な法的影響を懸念して支持しないと示したため、理事会での承認投票は1月に延期され、その後イタリアも支持を撤回した。これによって、法案はさらに疑問視され、2月下旬には、フランスが新ルールの適用範囲をEUの大企業のみに大幅に縮小しようとし、最終的に不成立となった。

法案に関していくつかの重要な妥協点を経て、理事会加盟国は先週、CSDDDを最終的に承認した。改正CSDDDにおける最も重要な変更点のひとつは、新法の対象となる企業の閾値を従業員数500人から1000人に、売上高を1億5000万ユーロから4億5000万ユーロ以上に引き上げることで、企業数を大幅に縮小したことである。この新しい基準値により、CSDDDの対象となる企業数はおよそ3分の2に削減されることになる。また、これまでリスクの高いセクターに対して設けられていた低い閾値も撤廃されたが、後に再検討される可能性もある。

CSDDDの追加的な変更点としては、発効から5年後に対象となるすべての企業に対してのみ完全実施されるよう段階的に法規制を導入すること、製品の廃棄活動を法律の対象から除外すること、さらに、企業が財政的インセンティブを通じて気候変動計画の実施を促進するための要件を削除することなどが挙げられた。

委員会での採択を受け、新法案は今後、議会での本会議採決に進む。

【参照ページ】
(原文)First green light to new bill on firms’ impact on human rights and environment
(日本語参考訳)企業の人権と環境への影響に関する新法案に初の青信号

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