EUがネット・ゼロ産業法案で政治的合意に達し、産業転換を加速

2月6日、EU上院の役割を担うEU加盟国閣僚級のEU理事会とEU下院の役割を担う欧州議会は、ネット・ゼロ産業法案で政治的合意に達した。これにより、双方での立法手続きが開始される。

本法案は、米国でインフレ抑制法が制定されたことを受け、欧州委員会が欧州での産業転換を加速するために提案したものである。主な内容は以下の通りである。

  1. ネット・ゼロ技術のEU統一リスト「戦略的ネット・ゼロ技術」の作成。
  2. リスト入りした技術分野での政策を法定化し、EU域内生産量の増加を目指す。
  3. 戦略的プロジェクトに関する許認可手続きの簡素化と投資要件の緩和。
  4. 「ネット・ゼロ産業アカデミー」の創設と労働力確保の促進。
  5. 産業地帯全体でのカーボンニュートラル化を進める「ネット・ゼロ産業バレー」構想の創設。
  6. 公共調達活用における要求事項の透明性と実施可能性の確保。
  7. 大規模プラントや製造ラインの建設または拡張のための許可証交付期限の設定。
  8. 再生可能エネルギー導入オークションにおける環境サステナビリティやイノベーションへの貢献の価格とは関係のない要件の適用。

これらの措置を通じて、EUはネット・ゼロ産業の実現に向けた取り組みを強化し、持続可能な未来を目指す。

【参照ページ】
(原文)Net-Zero Industry Act: Council and Parliament strike a deal to boost EU’s green industry

関連記事

おすすめ記事

  1. 2025-7-2

    シェルパ、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)理事・小森氏をゲストにウェビナー「ISSBが示すサステナビリティ情報開示の考え方」を実施

    - ISSB基準に関する最新動向から企業価値向上に向けた戦略的情報開示についてまで、講演と対談を通…
  2. ウェルビーイングとは?5つの要素から企業に求められる対応を解説

    2024-5-15

    ウェルビーイングとは?5つの要素から企業に求められる対応を解説

    上場企業であれば気候変動の情報開示が当たり前になってきたのと同じく、人材のウェルビーイングの実現に…
  3. CSRDとは。日本企業に与える影響と今すぐできる対応を紹介。

    2024-5-7

    CSRDとは。日本企業に与える影響と今すぐできる対応を紹介。

    CSRD(Corporate Sustainability Reporting Directive…

ピックアップ記事

  1. 2025-7-2

    シェルパ、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)理事・小森氏をゲストにウェビナー「ISSBが示すサステナビリティ情報開示の考え方」を実施

    - ISSB基準に関する最新動向から企業価値向上に向けた戦略的情報開示についてまで、講演と対談を通…
  2. 2025-7-1

    カナダ年金基金、2030年までに4,000億ドルの気候投資

    6月19日、カナダの大手機関投資家であるケベック州貯蓄投資公庫(CDPQ)は、2050年ネットゼロ…
  3. 2025-7-1

    GRI、サステナビリティ報告のデジタル化を促進する新「サステナビリティ・タクソノミー」を発表

    6月19日、GRI(Global Reporting Initiative)は、新たに「GRI S…

““登録03へのリンク"

ページ上部へ戻る