WEF報告書:企業がエネルギー需要を削減するための取り組み

1月8日、世界経済フォーラム(WEF)は、エネルギー需要の変革イニシアティブと国際ビジネス委員会(IBC)により作成された新しい報告書を発表した。本報告書は、企業がエネルギー需要を削減するために必要な取り組みをまとめています。120以上の企業が参加するIBCは、エネルギー需要の3%を占める企業を代表している。

報告書は、2030年までに再生可能エネルギー容量を3倍にし、エネルギー効率を年率2倍に改善するというCOP28の目標に合わせて、企業がエネルギー需要の削減に焦点を当てる必要性を強調している。企業がエネルギー需要の削減に取り組むことで、世界全体で年間2兆米ドル(約285兆円)のコスト削減が可能であるとされている。

報告書では、以下3つのアクションレベルを提案している。

  1. 短期的な効果を獲得するための事業運営費(OPEX)の削減
  2. 中期的な施策として設備投資(CAPEX)の効率化
  3. 長期的なバリューチェーンにおけるコラボレーション

特に、OPEXとCAPEXの改善は即効性があり、新たな技術や外部資金に頼らずに実現できるとしている。報告書はまた、運輸、建設、産業セクターにおいて、エネルギー需要削減のためのアクションを具体的に提案している。

報告書は、エネルギー需要を削減する取り組みがまだ不足しており、ビジネスや二酸化炭素排出量削減に関する認識が低いことを指摘している。IBCに加盟するCEOの47%がエネルギー需要の削減に取り組む企業への支援が不足していると回答し、エネルギー効率向上のための啓蒙キャンペーンなどの政策が必要であると主張している。アジェンダは、2024年1月に開催されるダボス会議で議論される予定である。

【参照ページ】
(原文)Action on Energy Demand Could Boost Growth, Save Economies $2 Trillion a Year and Cut Greenhouse Gas Emissions, Say Global CEOs
(日本語参考訳)エネルギー需要への取り組みが成長を促進し、経済を年間2兆ドル節約し、温室効果ガス排出を削減する可能性があると世界のCEOが指摘

関連記事

“イベントへのリンク"

おすすめ記事

  1. 2024-4-9

    SBTN(Science-Based Targets for Nature)とは。企業のネイチャーポジティブ経営を実現する目標設定の方法論を解説。

    TNFDのフレームワークが公開され、先進企業ではフレームワークに基づく情報開示が進みつつある(20…
  2. 2024-4-2

    【さくっと読める】TNFDの開示とは。重要ポイントを抽出。

    2023年9月、TNFDのフレームワークが完成し公開された。2023年時点でTNFDに基づく開示を…
  3. 2024-3-26

    【さくっと読める】ESGスコアとは。基本的知識を解説。

    今月から、サスティナビリティ情報開示で関心の高いテーマについて、さくっと読める解説コラムを発行して…

ピックアップ記事

  1. アップルのサプライチェーンの95%、2030年までに100%再生可能エネルギー使用を約束

    2024-4-25

    アップルのサプライチェーンの95%、2030年までに100%再生可能エネルギー使用を約束

    4月17日、アップルは、バリューチェーンの脱炭素化という目標に向けて大きく前進していることを発表し…
  2. 2024-4-24

    ダウとP&G、プラスチック・リサイクル技術の共同開発契約を締結

    3月25日、 米国の化学世界大手であるダウと消費財業界大手のP&Gは、プラスチック・リサ…
  3. 2024-4-24

    住商グループとパートナー企業、太陽光発電パネルの再利用・リサイクル実証実験に着手

    3月28日、住友商事、三井住友ファイナンス&リース(SMFL)、SMFLみらいパートナーズ…

ページ上部へ戻る