IRENAとUAE、COP28で食料と健康バリューチェーンのイニシアティブを開始

12月4日、国際再生可能エネルギー機関(IRENA)とアラブ首長国連邦(UAE)は、COP28において「Empowering Lives and Livelihoods – Renewables for Climate Action」イニシアティブを正式に発足させた。本イニシアティブは、再生可能エネルギーによって農業と健康のバリューチェーンを変革することで、脆弱なコミュニティにおける気候変動への回復力と適応を強化することを目的としている。

エネルギーは、気候変動や、食料安全保障や保健医療サービスなど、他の多くの持続可能な開発目標と密接不可分の関係にある。約25億人が農業部門に頼って生活しており、世界のエネルギーの約30%が農業食品システムで消費されている。その大半は化石燃料をベースとしており、サプライチェーンを価格や供給のショックに対して脆弱にしている。

保健分野では、推定10億人が電気のない保健施設に依存している。IRENA、世界保健機関(WHO)、その他のパートナーによる最近の調査によると、南アジアでは一次医療施設の12%、サハラ以南のアフリカでは15%が電気を利用できない。農業と保健衛生の両セクターにおいて、特に女性は不釣り合いな影響を受けている。

こうした課題には、信頼性が高く、手頃な価格で持続可能なエネルギーへのアクセス拡大が必要である。分散型の再生可能エネルギー・ソリューションは、生産性向上、収入増加、付加価値向上、損失削減、気候変動への耐性向上に寄与する。また、費用対効果の高いタイムリーな方法でエネルギー・アクセス・ギャップを埋めることもできる。例えば、農村部の診療所では救命ワクチンを保存することができ、農民は持続可能な灌漑を利用することが可能となる。

パートナーは共に、特に後発開発途上国や小島嶼開発途上国(SIDS)に重点を置きながら、それぞれの国に合わせた金融ソリューションやプログラム的支援を提供し、そのルートを確保する。同時に、気候変動の影響を最も受け、機会や手ごろな資金へのアクセスが不足している女性や若者のために、公平な利益を促進することも目指す。

【参照ページ】
(原文)IRENA and UAE Launch Initiative at COP28 to Empower Lives and Livelihoods
(日本語参考訳)IRENAとUAE、COP28で食料と健康バリューチェーンのイニシアティブを開始

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