12月2日、バイデン政権は、石油・ガス産業によるメタン排出を大幅に削減し、15億トン相当のGHG排出を防止することを目的とした、米国環境保護庁(EPA)による最終規則を発表した。
本規則には、設備やプロセスからのメタン漏れやガス抜きなど、石油・ガス施設におけるメタンやその他の汚染物質の最大の発生源に対処する一連の汚染削減基準や、最先端のメタン検知技術の利用促進が含まれている。
メタン排出の迅速な削減は、温暖化を1.5℃に抑えるという世界的な気候目標の達成を支援するために、短期的に可能な最も効果的な行動のひとつと考えられている。農業、化石燃料の生産と輸送、石炭採掘、埋立地などの活動から排出されるメタンは、CO2の80倍もの温暖化効果を持つ、非常に強力なGHGである。
気候変動枠組条約第28回締約国会議(COP28)で発表された本規則の最終決定は、バイデン政権が昨年のCOP27で発表したメタン排出削減行動計画に続くもので、メタン排出に取り組むための200億ドル(約3兆円)以上の新規投資のコミットメントが含まれている。 年次予算に加えて、超党派インフラ法とインフレ削減法から割り当てられる。
石油・天然ガス事業は、米国最大のメタン排出源であり、健康を害する他の大気汚染物質の重要な発生源でもある。
最終規則には、新規油井から生産される天然ガスの日常的なフレアリングを段階的に廃止する要件、油井現場やコンプレッサー・ステーションからのメタン漏れを包括的に監視する要件、制御装置、ポンプ、貯蔵タンクなどの高排出設備からの排出削減を求める新規格が含まれている。また、大規模なメタンガスの放出や漏れを検知するために、リモートセンシングにおける第三者の専門知識を活用するスーパーエミッタープログラムも含まれている。
EPAの試算によると、最終規則により、将来予測されるメタン排出量の約80%削減が達成され、2024年から2038年までの間に、1,600万トンの揮発性有機化合物および59万トンのベンゼンやトルエンなどの有害大気汚染物質の排出が回避され、公衆衛生が保護される。また、毎年約4,000億立方フィートの燃料の漏れやその他の放出を防ぐことができる。
【参照ページ】
(原文)Biden-Harris Administration Finalizes Standards to Slash Methane Pollution, Combat Climate Change, Protect Health, and Bolster American Innovation
(日本語参考訳)米バイデン政権、石油・ガス部門のメタン排出削減規則を発表