テスコ、森林と農場のサプライチェーンにおける排出量を削減

テスコ、森林と農場のサプライチェーンにおける排出量を削減

8月10日、英国を拠点とする多国籍食料品小売企業のテスコは、気候変動に焦点を当てた一連の新たなコミットメントを発表した。これには、森林および農業レベルのサプライチェーンに由来するスコープ3排出量を削減する中間目標や、自社事業からのスコープ1および2の絶対排出量を2030年までに85%削減する目標などが含まれる。

新目標は、2035年までに事業活動でネット・ゼロを達成し、2050年までにバリューチェーン全体でネット・ゼロを達成するという、2021年に設定された同社の目標の一部を成すものである。

テスコの新しいバリューチェーン目標には、2032年までにエネルギーおよび産業由来のスコープ3排出量の絶対量を2019年を基準として55%、森林・土地・農業(FLAG)排出量を39%削減する目標が含まれている。

食品・飲料セクターの排出量は、世界の温室効果ガス排出量の約3分の1を占める。その大部分は企業の事業活動からの「直接」排出ではなく、食品・飲料企業のサプライチェーンからの排出であるため、対応が最も困難なセクターのひとつである。

テスコの最新のサステナビリティ・レポートによると、同社の排出量フットプリントの90%以上はバリューチェーンに起因しており、その中には販売する製品の生産から発生する排出量の半分以上も含まれている。

同社は、サプライチェーンの排出量に対処するため、「プラネット」サステナビリティ・アジェンダの「製品の改善」カテゴリーで、2025年までにすべての一次リスク商品で100%森林破壊をなくすこと、低炭素肥料など持続可能な農業の革新を主要な野菜サプライヤーに展開すること、2023年末までにサプライヤーにネット・ゼロを約束させることなど、今後推進するイニシアティブのいくつかを概説した。

テスコの「プラネット」アジェンダの追加カテゴリーには、輸送の脱炭素化、店舗排出量の削減、持続可能な消費の支援、廃棄物の排除、自然保護が含まれる。

テスコはまた、新たな目標がSBTi(Science Based Targets initiative:科学的根拠に基づく目標設定イニシアティブ)の認証を受けたことを発表した。これによりテスコは、SBTiの認証を受けた目標を掲げる小売企業となり、SBTiの認証を受けた具体的なFLAG目標を掲げる企業のひとつとなった。

【参照ページ】
Tesco’s ambitious net zero targets validated by Science Based Targets Initiative (SBTi)

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