11月13日、鉄鋼メーカーのNucor Corporationは、熱間圧延鋼板の生産からスコープ1、2、3全体でネット・ゼロ排出を達成する目標を含む、一連の新しい気候変動目標を発表した。
Nucorによると、この新たなコミットメントにより、同社は3つのスコープすべてを網羅する温室効果ガス削減目標を設定した米国初の多角的鉄鋼メーカーとなる。
製鉄業は、世界的に最もCO2を排出するセクターのひとつであり、このセクターからの温室効果ガス総排出量(GHG)は、世界の化石燃料使用による直接排出量の7~9%を占めている。
Nucorによると、2030年の中間目標を含む新目標は、世界鉄鋼気候評議会(GSCC)の「鉄鋼気候基準」によって定義されており、パリ気候協定の2050年までの鉄鋼セクターの排出削減目標、およびIEAの「2050年までのネット・ゼロ」に合致している。これは、2050年までの鉄鋼部門の排出削減目標と、IEAの「2050年までのネット・ゼロ:グローバル・エネルギー・システムのためのロードマップ」に沿ったものである。
本目標は、2021年に発表された、2015年を基準として2030年までに製鉄所のスコープ1とスコープ2の温室効果ガス強度を35%削減するというNucorの以前の目標よりも野心的なものである。
Nucorは、電気アーク炉でリサイクルされた金属スクラップを使用して鉄鋼を生産しているため、温室効果ガス強度を世界平均より60%以上低く抑えることができる。Nucorは、クリーン電力の利用拡大、炭素回収・隔離、GHGゼロに近い製鉄など、目標達成のために取るべき措置を概説した。Nucorはまた、噴射剤と充電炭素の消費を削減する技術を活用し、生産工程における天然ガスの使用を削減する予定である。
施設を脱炭素化するための重要な方法のひとつは、クリーンな電力の使用を増やすことである。現在、同社の電力使用量の約40%は、クリーンまたは再生可能な電源から供給されている。9月、Nucorとクリーンエネルギー新興企業のHelionは、米国に拠点を置くNucor社の鉄鋼製造施設に500MWの核融合発電所を開発し、同施設にゼロ・カーボン電力を供給することで合意したと発表した。同社は、最大の工場のひとつに核融合発電を導入することで、年間50万トンの排出量を削減できると試算している。
【参照ページ】
(原文)NUCOR SETS NET-ZERO SCIENCE-BASED GREENHOUSE GAS TARGETS FOR 2050
(日本語参考訳)Nucor、2050年までにバリューチェーン全体でネット・ゼロ製鉄の目標を設定