メルセデスベンツ、バッテリーリサイクル工場を開設し、リサイクルループを自社完結

10月21日、Mercedes-Benzは、ドイツ南部のクッペンハイムにおいて、ヨーロッパ初の機械・湿式冶金プロセスを統合したバッテリーリサイクル工場を開設したと発表した。これで同社は、自社施設でバッテリーリサイクルのループを完全に閉じることができる世界初の自動車メーカーとなった。

この工場は、リチウム、ニッケル、コバルトなどの貴重で希少な原材料を回収し、新しい電気自動車用バッテリーに再利用できるようにする。また、96%以上の回収率が見込まれている。従来の技術に比べ、エネルギー消費や廃棄物が少なく、低温(最大80℃)で運用されるため、環境負荷が低いのが特徴である。

工場の年間処理能力は2,500トンで、回収された素材は50,000以上のバッテリーモジュールに供給され、将来的には生産規模の拡大にも寄与する見込みである。このリサイクル施設は、同社の全ての生産工場と同様にカーボンニュートラルで運営されており、グリーン電力を100%使用している。また、工場の屋根には350キロワットを超える出力の太陽光発電システムが設置されている。

このプロジェクトは、鉄鋼会社のSMS groupと化学会社のNeometalsの合弁会社であるPrimobiusと協力しており、ドイツ連邦経済・気候保護省からの支援を受けて、3つのドイツの大学と共同で研究が進められている。リサイクルのプロセスチェーン全体を研究し、物流や再統合の概念を探求しており、ドイツ国内でのバッテリーリサイクル産業の拡大に貢献している。

【参照ページ】
(原文)Mercedes-Benz opens own recycling factory to close the battery loop

関連記事

おすすめ記事

  1. 2025-7-2

    シェルパ、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)理事・小森氏をゲストにウェビナー「ISSBが示すサステナビリティ情報開示の考え方」を実施

    - ISSB基準に関する最新動向から企業価値向上に向けた戦略的情報開示についてまで、講演と対談を通…
  2. ウェルビーイングとは?5つの要素から企業に求められる対応を解説

    2024-5-15

    ウェルビーイングとは?5つの要素から企業に求められる対応を解説

    上場企業であれば気候変動の情報開示が当たり前になってきたのと同じく、人材のウェルビーイングの実現に…
  3. CSRDとは。日本企業に与える影響と今すぐできる対応を紹介。

    2024-5-7

    CSRDとは。日本企業に与える影響と今すぐできる対応を紹介。

    CSRD(Corporate Sustainability Reporting Directive…

ピックアップ記事

  1. 2025-7-18

    EC、サステナビリティ報告に「緊急修正措置」 先行企業の負担を軽減

    7月11日、欧州委員会は欧州サステナビリティ報告基準(ESRS)に対する的を絞った「緊急修正措置」…
  2. 複雑化する制度を整理:課題別サステナビリティ情報開示の進め方

    2025-7-17

    複雑化する制度を整理:課題別サステナビリティ情報開示の進め方

    サステナビリティ情報開示の実務の“今”に応じたオリジナル解説記事のご案内 サステナビリティ情…
  3. 2025-7-17

    カリフォルニア州、企業の気候情報開示でFAQを発表 – 報告義務の具体策示す

    7月9日、カリフォルニア州大気資源局(CARB)は、州内で事業を行う大企業に温室効果ガス(GHG)…

““登録02へのリンク"

ページ上部へ戻る