マイクロソフト、12年間で360万トンのCO₂除去を調達 米ルイジアナ州のバイオメタノール事業、C2Xと長期契約

12月11日、米IT大手マイクロソフトは、低炭素燃料事業を手がけるC2X(本社・ヒューストン)と、12年間で計360万トンの二酸化炭素(CO₂)を大気中から除去する長期契約を締結した。C2Xが11日、発表した。

契約は、C2Xの子会社であるBeaver Lake Renewable Energy(BLRE)が米ルイジアナ州で開発を進める「Beaver Lake」プロジェクトを通じて実施される。同プロジェクトでは、高品質なエンジニアード型カーボンリムーバル・ユニット(CRU)をマイクロソフトに供給する。CRUは1単位につき1トンのCO₂を大気から除去し、地下に恒久的に貯留したことを示す。

Beaver Lakeプロジェクトは、かつて製紙工場があった敷地を活用し、地域で持続可能に調達された森林残渣を原料としてバイオメタノールを製造する計画だ。年間50万トン超のバイオメタノールを生産する一方で、生成過程で発生する生物由来CO₂を回収・貯留し、年間約100万トンのCO₂を削減・除去する見込みである。製品は、海運、航空、化学、産業分野など、脱炭素化が難しい分野での利用が想定されている。

C2Xによると、CRUの算定にあたっては、バイオマス調達、施設運営、輸送などに伴うライフサイクル排出を差し引いた正味の炭素除去量のみを計上する。カーボン削減効果はバイオメタノールとCRUの間で適切に配分され、二重計上は行わない。プロジェクトはICROA(国際カーボン・オフセット・削減アライアンス)が承認するレジストリに登録され、第三者による検証を受けるほか、EU再生可能エネルギー指令(RED III)の原則に沿った持続可能なバイオマス調達が求められる。

C2Xのブライアン・デービス最高経営責任者(CEO)は、「本プロジェクトは、脱炭素が難しい産業向けのバイオメタノール生産と、恒久的なカーボン除去を同時に実現する」と述べ、エンジニアード型カーボン除去市場におけるマイクロソフトの主導的役割を評価した。

マイクロソフトのフィリップ・グッドマン氏(カーボン除去ポートフォリオ担当ディレクター)は、「大規模なカーボン除去と、グリーンメタノールによる広範な脱炭素化を両立できる点に意義がある」とコメントし、C2Xの持続可能な原料調達や厳格な炭素会計を高く評価した。

総投資額は約25億ドルに上り、建設期間中には最大1,150人の雇用を創出する見通しだ。稼働後は、直接・間接雇用を含めて600人以上の雇用が地域で生まれるとされる。製紙・パルプ工場の閉鎖が相次いだルイジアナ州の林業支援にもつながるほか、CO₂輸送・貯留インフラへの投資促進効果も期待されている。建設は2026年後半に開始され、2029年の操業開始を予定している。

(原文)C2X to deliver 3.6 million metric tons of carbon removal to Microsoft over 12 years
(日本語参考訳)C2Xは12年間でマイクロソフトに360万トンの炭素除去を提供

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