モーニングスター、新たな調査結果を発表

モーニングスターが新たな調査結果を発表

10月4日、投資調査会社モーニングスターが新たな調査結果を発表した。新たな調査によると、ESGの導入に関する規制やデータの質に関する障壁が高まっているにもかかわらず、アセットオーナーは ESG要素を組み込んだ戦略への配分を増やしている。

モーニングスターは、「アセットオーナーの声調査2023」と題し、北米、欧州、アジア太平洋諸国の年金基金、保険一般勘定、ファミリーオフィス、アウトソーシングCIOなど、合計資産総額10兆7,000億ドル(約1,589億円)超のアセットオーナー500人を対象に調査を実施した。

本調査によると、すべてのアセット・オーナーが資産の少なくとも一部をESG要素を考慮した戦略に配分しており、2022年の調査以降、資産の半分以上をそのような戦略に配分している割合は30%から34%に増加している。地域別では、運用資産の46%がESGを考慮した戦略に配分されているのに対し、APACでは41%、北米では36%にとどまっている。

ESG配分の増加は、資産運用会社がESG要素の重要性を認識するようになったことを反映している。調査によると、資産運用会社の67%が過去5年間でESGの重要性が高まったと回答し、特に環境要因については過去1年だけでも52%が重要性が高まったと回答している。同様に、ネット・ゼロ・エミッション(52%)やダイバーシティ&インクルージョン(57%)を含む環境・社会的要因が投資判断の重要な要素になっていると答えた資産運用会社は半数を超えた。

しかし、資産運用会社がESG戦略への配分を増やしているのは、ESG導入の障壁が高まっていることを報告しているためでもある。炭素集約的なエネルギー・公益セクターで好調なパフォーマンスが続いた後、2023年にESG投資戦略を追求する上での最大の課題は、リターンへの影響であると回答したアセットオーナーは38%で、昨年の調査より若干増加した。調査によると、データ関連の課題は大幅に増加しており、資産家の30%がESG投資戦略の障壁として標準化されたデータの不足を、29%が信頼性の低いデータや古いデータを挙げている。

規制要因もESG投資の課題として大幅に増加し、約30%の資産運用会社が規制を障壁と回答し、前年より10ポイント増加した。ESG規制が役立っていると回答したアセットオーナーは49%と半数を下回り、2022年の60%から大幅に減少した。ESG規制が障害となっていると回答したアセットオーナーのうち、ESG規制が分かりにくい、または不明確であると回答したのは42%で、昨年の29%から増加した。

本レポートでは、ESG格付け、インデックス、データ、ツールなど、ESGリスクや機会を管理・測定するためのリソースの資産運用会社の利用状況も調査している。全体的に、これらの商品やサービスは最近改善されているようで、資産運用者の3分の2近くが過去5年間でESGデータ(63%)、ESG格付け(64%)、ESGインデックス(65%)、ESGツール(66%)が改善されたと回答している。これらのソリューションのどの点が改善されれば最も恩恵を受けるかという質問に対しては、アセットオーナーの48%がより正確なデータを、次いで42%がよりタイムリーなデータを望んでいると回答した。

また、アセットオーナーは人工知能がESG投資に大きな影響を与えることを期待しており、70%がデータ収集に、67%がESG分析にAIの導入が進むと予想していることがわかった。

【参照ページ】
(原文)Asset Owners Highly Committed to ESG As Implementation Challenges Persist; Morningstar Survey
(日本語参考訳)モーニングスター調査:資産家はESGに高い関心を示すが、実施には課題が残る

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