10月4日、欧州委員会は、多額の補助金を受けたEVの急増がEUの自動車産業に脅威を与えていると判断し、中国からの輸入EVに対する反補助金調査を正式に開始したと発表した。
今回の調査は、欧州委員会が中国のEV企業に対して反ダンピング調査を開始するよう、フランスが数カ月にわたって圧力をかけてきたことを受けたもの。しかし、ドイツなど他の国々は、この動きが貿易戦争の火種になりかねないと警告している。
欧州委員会のウルスラ・フォン・デア・ライエン委員長は先月、欧州連合(EU)の現状(SOTEU)演説でこの調査計画を発表し、その中で「世界市場は現在、安価な中国製EVであふれかえっている」と述べ、その価格は「巨額の国家補助金」によって人為的に低く抑えられており、市場を歪めていると指摘した。
欧州のEV市場は、2035年からEU域内で登録される新車とバンのCO2排出量を100%削減することを義務づける規制が施行され、英国でも同様の規則が施行されていることから、今後数年間で急速に成長すると予想されている。 全EVの販売は現在、EUの自動車市場の約13%を占めている。
欧州委員会は、正式な調査を発表した声明の中で、EUの産業界から正式な苦情は寄せられていないものの、「中国からEUへ低価格で補助金付きのEV輸入が最近急増しており、EUのEV産業に経済的脅威を与えている」ことを示す十分な証拠が集まっていると述べた。
欧州委員会は、調査の結果に基づいて、不公正な貿易慣行の影響を是正することがEUにとって最善であるかどうかを判断するとしており、これには中国から輸入されるEVに反ダンピング関税を課すことも含まれる可能性がある。
【参照ページ】
(原文)Commission launches investigation on subsidised electric cars from China
(日本語参考訳)EU、中国製EVに対する反ダンピング調査を開始