DHL、トラック用バイオメタン製造に120億円超を投資

DHL、トラック用バイオメタン製造に120億円超を投資

9月21日、DHLグループのコントラクトロジスティクス部門であるDHLサプライチェーンは、アイルランドのコークにあるバイオガス開発企業Stream BioEnergyが運営するバイオメタン専用製造施設に8,000万ユーロ(約126億円)を投資すると発表した。

DHLはバイオメタンを燃料とするトラックの運行を開始し、Stream BioEnergyと10年間の契約を結び、新施設で最大150台のトラックに燃料を供給すると発表した。同社によると、本契約により年間15,000トンの二酸化炭素削減が見込まれる。

バイオメタン、すなわち再生可能天然ガス(RNG)は、クリーンなエネルギー源への移行において重要な役割を果たすことが期待されている。RNGは、農業廃棄物、産業廃棄物、家庭廃棄物などの有機廃棄物から製造され、化石由来の天然ガスと化学的に同一であるため、既存の送配電インフラを交換することなく、道路輸送や重工業などの脱炭素化が困難なセクターをサポートすることができる。

2009年設立のStream BioEnergyは、嫌気性消化技術を利用して有機物を再生可能エネルギーとバイオ肥料に転換する産業規模のバイオガスプロジェクトをアイルランドで開発・運営している。コークを拠点とする同社のバイオメタン製造施設では、これまで埋め立て処分されていた年間9万トンの産業廃棄物および消費者向け食品廃棄物を処理する。

DHLは、バイオメタントラックの導入とバイオメタン製造への投資は、2050年のネット・ゼロ目標達成に向けた取り組みを支援するものであると述べている。DHLは2021年にサステナビリティ・ロードマップを発表し、ゼロエミッション車両の拡大、代替航空燃料、気候ニュートラルビルに重点を置いたCO2排出量削減対策に10年間で70億ユーロ(約1兆1,047億円)を投資する計画を盛り込んだ。

本投資に加え、DHLはテスコ社との協業により、新しいバイオメタンガスの施設が完全に機能するようになれば、DHLはテスコ・アイルランドのネットワーク全体で92台のバイオメタンガスのトラックを稼働させることになる。

【参照ページ】
DHL Supply Chain to drive biomethane use in its Irish transport network with EUR80 million investment in production

関連記事

おすすめ記事

  1. 【最新】TISFDとは?概要・指標から国内外基準との関連まで徹底解説

    2025-9-11

    【最新】TISFDとは?概要・指標から国内外基準との関連まで徹底解説

    気候変動や自然資本など、環境領域に関する開示が進みつつある中、次なるテーマは「社会」の領域。TIS…
  2. 2025-8-14

    特別対談:TISFD運営委員・木村武氏 × シェルパCSuO中久保菜穂 「サステナビリティ情報開示の新潮流:TISFDが示す設計思想と、日本企業の対応意義を問う」(前編)

    本記事は、ESG Journal を運営するシェルパ・アンド・カンパニー株式会社のCSuOが、サス…
  3. 2025-8-14

    特別対談:TISFD運営委員・木村武氏 × シェルパCSuO中久保菜穂 「サステナビリティ情報開示の新潮流:TISFDが示す設計思想と、日本企業の対応意義を問う」(後編)

    本記事は、ESG Journal を運営するシェルパ・アンド・カンパニー株式会社のCSuOが、サス…

ピックアップ記事

  1. 2025-11-6

    CDPとTNFD、2025年質問票の対応マッピングを公開

    10月22日、CDPとTNFDは、CDP 2025年版企業質問票とTNFD開示推奨項目・指標との対…
  2. 2025-11-6

    ISSB、国際的なサステナビリティ開示の「グローバル・パスポート」構想を発表

    10月30日、ISSB(国際サステナビリティ基準審議会)は、ロンドンで開催された「IFRSサステナ…
  3. TNFD・自然移行計画の5つの構成要素と先行事例/実践例の紹介

    2025-11-5

    TNFD・自然移行計画の5つの構成要素と先行事例/実践例の紹介

    ※2025年11月4日公開済みの記事にTNFDが発行した「Nature in transition…

““登録01へのリンク"

ページ上部へ戻る