9月6日、世界最大規模の自然保護団体、研究機関、企業、金融連合27団体が集まり、「ネイチャー・ポジティブ・イニシアティブ」が発足した。同イニシアティブは、「ネイチャー・ポジティブ」という言葉の定義、整合性、使用に関する調整を推進し、成果をもたらすためのより広範で長期的な取り組みを支援することを目的としている。
「ネイチャー・ポジティブ」とは、生物種、生態系、自然プロセスの健全性、豊かさ、多様性、回復力における測定可能な利益を通じて、2020年を基準として、2030年までに生物多様性の損失を止め、回復させることを指す。
今回結集した機関の多くは、2019年にネイチャー・ポジティブの概念を提唱した論文「A Nature-Positive World: The Global Goal for Nature」の執筆機関である。今回のネイチャー・ポジティブ・イニシアティブの発足は、合同プロジェクトの第2段階と位置づけられている。
本イニシアティブの全体的な目標は、2030年までに自然喪失を食い止め、逆転させるという、自然にとってプラスとなる結果を目指して、行動を提唱し、支援し、実施する多数のアクターが連携し、相乗効果を発揮することである。
中核となる作業には、企業、金融機関、あらゆるレベルの政府、その他の利害関係者にとって、自然に対する測定可能な2030年の世界目標としての「ネイチャー・ポジティブ」の完全性を維持することが含まれる。ネイチャー・ポジティブな野心は、すでに先陣を切っている企業から強い支持を受けているため、優先課題は、すべての人がその影響と貢献を適切に測定し、行為者レベルで報告することを可能にする、共通の定義、測定基準、標準化されたツールと実践の展開を支援することである。
本イニシアティブはまた、「昆明-モントリオール世界生物多様性フレームワーク」の政府やその他のステークホルダーによる完全実施を提唱し、支援する。
中核となる団体は、NPIの戦略的方向性、政策的立場、共同活動を設定する役割を担う。また、すべての利害関係者の意見が考慮され、社会全体に自然にとってプラスとなる成果をもたらすための取り組みを支援するため、より広範で包括的なパートナー組織の積極的な参加を呼びかけ、連絡を取り合い、調整する責任も負う。NPIパートナーシップは今後数週間のうちに立ち上げられる予定で、自然に対する世界目標を支援し、実施することを望むすべての関連機関・団体が、支援を表明することで参加できる。
同イニシアティブの中核機関を構成するのは、国際自然保護連合(IUCN)、自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)、科学的根拠に基づく目標ネットワーク(SBTN)、資本連合(Capitals Coalition)、世界資源研究所(WRI)、WBCSD、世界自然保護基金(WWF)インターナショナル、野生生物保全協会(WCS)、GRI、国連責任投資原則(PRI)、NatureFinance、Nature4Climate、Business For Nature、ザ・ネイチャー・コンサーバンシー(TNC)、コンサベーション・インターナショナル(CI)、グローバル・コモンズ・アライアンス、Campaign for Nature、ポツダム気候影響研究所(PIK)、Race to Zero、Race to Resilience、バードライフ・インターナショナル、ICLEI、InTent、ピュー慈善信託、ICUNの「保護地域に関する世界委員会(WCPA)」、アフリカ自然資本アライアンス(ANCA)、Indigenous Information Network、Nature Positive Universities。
【参照ページ】
(原文)Nature Positive Initiative launches to promote the integrity and implementation of the Global Goal for Nature
(日本語参考訳)ネイチャー・ポジティブ・イニシアティブが発足し、世界自然保護目標を推進