9月7日、気候変動リスク等に係る金融当局ネットワーク(Network for Greening the Financial System;NGFS)は、中央銀行と金融監督当局による政策と行動の指針となる、自然関連金融リスクに関する概念フレームワークのベータ版を発表した。
本フレームワークは、中央銀行や金融監督当局が自然関連金融リスクの評価や対処に関連する複雑さや課題に対処できるよう、科学的根拠に基づく共通の理解や共通言語を生み出すことを目的としている。
NGFSは、独立環境シンクタンクInternational Network for Sustainable Financial Policy Insights, Research, and Exchange(INSPIRE)と合同で、生物多様性と金融安定化に関する研究を進めてきた。本発表によると、この概念フレームワークはこれまでの作業を基礎として、気候変動とより広範な自然関連リスクの統合的評価に向けた重要な一歩を描いている。 本書の目的は以下の通り。
i) 自然関連の金融リスクと、これらのリスクの高度な理解に必要な関連概念を定義する。
ii) 中央銀行や監督当局が自然関連金融リスクを特定・評価するのに役立つ枠組みを提供する。原則に基づくリスク評価の枠組みは、「物理的・移行的リスクの発生源の特定」、「経済的リスクの評価」、「金融システムへのリスク、金融システムからのリスク、金融システム内のリスクの評価」の3段階で実施する。
iii) モデリングとデータのギャップを埋めること(特に自然関連シナリオの策定)、および環境サステナビリティに関する政策の整合性を支援し、自然関連金融リスクの評価に情報を提供するために新たなデータセットを利用することを含め、NGFSタスクフォースがとるべき次のステップの概要を示す。
環境悪化と気候変動という2つの危機の重要性が世界的に認識されつつある中、NGFSは、NGFS全体で自然関連リスクの検討を主流化し、中央銀行や監督当局の作業を支援してきた。概念フレームワークの公表は、2022年初頭に発足した「生物多様性損失と自然関連リスクに関するNGFSタスクフォース」に続くものである。
【参照ページ】
(原文)NGFS publishes Conceptual Framework for Nature-related Financial Risks at launch event in Paris
(日本語参考訳)NGFS、自然関連金融リスクの概念フレームワークを発表