6月28日、世界的な食品・飲料会社であるネスレは、カーボンニュートラル・ブランド達成のためのオフセット利用から脱却し、代わりに事業とバリューチェーンにおける実際の排出削減量に重点を置くと、同社の広報担当者は述べた。
ネスレは2019年に、2050年までに温室効果ガス(GHG)排出量をネット・ゼロにするという公約を発表した。2020年には、2025年までに20%、2030年までに50%の排出量削減を達成するという目標も含む、気候変動目標を達成するための「期限付き計画」を発表している。
本計画には、農業からの排出や100%再生可能エネルギーへの移行に向けた取り組みに加え、「カーボンニュートラル」ブランドの数を継続的に増やすという誓約も含まれている。 同社のネット・ゼロ・ロードマップは、製品レベルでカーボンニュートラルを達成するためには、製品のライフサイクルの全段階からの温室効果ガス排出を削減または除去する必要があると説明している。
排出量削減がより困難な排出量をオフセットすることは、ほとんどの企業のネット・ゼロ計画の一部である。しかし、一部の企業の気候変動誓約は、実際の排出量削減よりもオフセットに過度に依存しているとして、批判を浴びている。例えば、気候変動に特化した非営利団体NewClimate InstituteとCarbon Market Watchが、排出量の多い企業を対象に行った最近の調査によると、これらの企業は、総排出量の23%から45%のオフセットを計画しており、企業の気候変動戦略に含まれる土地利用関連のオフセットの量は、そのような資産の世界的な利用可能性を大幅に上回っていることがわかった。
ネスレの温室効果ガス排出量の95%は同社のバリューチェーンによるもの。そのうちの約3分の2が原材料の調達によるものであり、直接事業によるものは約5%に過ぎない。ネスレの主要な排出削減イニシアティブのひとつには、土壌の健康状態の改善、家畜の採食地への樹木の統合、有機肥料への切り替え、農地の炭素貯蔵能力の向上など、再生可能農業と農法の推進が含まれる。同社は、2025年までにサプライチェーン全体で再生農業の取り組みに12億スイスフラン(約1,900億円)を投資し、2030年までに主要原材料の50%を再生農業の方法で調達することを誓約した。また、カーボンフットプリントの2番目と3番目に大きな原因であるパッケージングとロジスティクスのサステナビリティを改善する取り組みも進めている。
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Nestle Puts KitKat Carbon Neutrality in Greenwashing Graveyard