5月25日、米連邦最高裁判所は、環境保護庁(EPA)の水系監督権を巡る「サケット vs EPA」事件で、EPA側敗訴の判決を下した。同日、米大統領府(ホワイトハウス)は、貴重な水源を危険に晒しうると表明した。
本事案は、掘削会社を経営するマイケル・サケット及びシャンテル・サケット夫妻は家を建てるため、アイダホ州の土地を土で埋め戻し始めたことに端を発する。EPAはサケットに対し、この土地には湿地帯があり、埋め戻しは「合衆国の水(WOTUS)」への汚染物質の排出を禁止する水質浄化法に違反すると通告した。EPAはサケットに対し、1日あたり4万ドル以上の罰金を科すと脅しながら、現場の修復を命じた。
EPAはサケットの湿地帯を「WOTUS」に分類したが、その理由は、サケット湿地帯が小川に注ぐ側溝の近くにあり、その小川が航行可能な州内湖であるプリースト湖に注いでいたからである。不服としたサケット夫妻は2008年に提訴し、その後14年間、連邦裁判所で争われることになった。前回の第9巡回控訴裁は、EPAに有利な略式判決を支持したものの、今回、連邦最高裁判所判事9人は、全会一致でEPA敗訴の判決を下した。
【参照ページ】
(原文)Sackett v. Environmental Protection Agency, 598 U.S. ___ (2023)
(日本語訳)連邦最高裁、「サケット vs EPA事件」を巡りEPA敗訴