6月27日、オーストラリア政府が企業や金融機関に対して、気候変動に関連した財務情報開示の義務付けを計画していることが、財務省による新しいコンサルテーション・ペーパーで明らかになった。
報告義務は、大企業には早ければ2024年から適用され、中小企業はその後3年間で段階的に導入される。
本発表は、財務省が2022年12月に気候変動リスク開示の枠組みの構築と報告義務化計画について発表した「Discovery consultation」に続くものである。
新たなコンサルテーションは、詳細な情報開示の提案を含む最初のペーパーからのフィードバックをフォローアップし、提案されている対象範囲、内容、枠組み、施行規則の実行可能性についての意見を求めている。
同文書は、初回コンサルテーションに回答した利害関係者が、「政府が気候変動関連リスクの情報開示を義務付けることに、ほぼ全面的に賛成している」と述べている。また、IFRS財団の国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)が開発中の新基準に焦点を当て、報告要件を国際的な枠組みに合わせることの重要性を指摘している。ISSBは今週初め、サステナビリティと気候関連の新しい報告基準の最終版を発表した。
ISSBと同様、オーストラリアの気候変動に関する開示基準は、ガバナンス、戦略、詳細なリスクと機会、指標と目標に焦点を当てた、中核的な要素に焦点を当てたものとなっている。具体的な提案としては、オフセット、目標設定と緩和戦略、気候関連のリスクと機会を監視・管理するために使用するプロセス、シナリオ分析の使用に関する情報を含む、移行計画の開示が企業に要求される。また、業種別の指標に加え、Scope1、2、重要なScope3の排出量も報告することが求められる。
また本ペーパーでは、新たな気候関連報告の要件について、企業規模別に段階的に導入することを提案している。従業員500人以上、売上5億ドル(約700億円)以上、資産10億ドル(約1,400億円)以上といった大企業は、2024-2025年から新規則の対象となり、中堅企業(従業員2億5千万人以上、売上2億ドル以上、資産5億ドル以上)は翌年、中小企業(従業員1億人以上、売上5千万ドル以上、資産2千5百万ドル以上)は2027-2028年から対象となる。
本提案はまた、Scope3報告の実施に1年の猶予を与え、シナリオ分析が定性的なものから定量的なものへと移行するための時間を確保し、シナリオ分析、移行計画、Scope3排出量を含む分野の施行に3年間の移行期間を導入するものである。
【参照ページ】
(原文)Key climate reporting developments unveiled
(日本語訳)オーストラリア、2024年より企業に気候関連報告の義務化を導入