DOE、過去最大の約1.3兆円の融資コミットメントでフォードのEVバッテリー増強を支援

DOE、過去最大の約1.3兆円の融資コミットメントでフォードのEVバッテリー増強を支援

6月22日、米エネルギー省(DOE)は、フォードと韓国の電池会社SKイノベーションの合弁会社ブルーオーバルSKに対し、フォードとリンカーンのEVに供給する新電池工場の建設を支援するため、最大92億ドル(約1.3兆円)の融資を行う条件付きコミットメントを発表した。

今回の発表は、DOEの融資プログラム・オフィス(LPO)にとって過去最大の融資となる。

DOEによると、今回の融資は、クリーンエネルギーと将来の輸送技術の国内製造を促進する「インベスティング・イン・アメリカ」アジェンダ、2030年までに米国での新車販売の半分をゼロ・エミッション車が占めるという義務、2035年までに炭素汚染のない電力部門を達成するという野心など、バイデン政権のいくつかの目標とイニシアティブをサポートするものだという。

フォードとSKは、2021年にブルーオーバルSKを立ち上げることを発表した。これは、フォードのEVエコシステムの大幅な拡大の一環であり、米国の自動車メーカーが一度に行う製造投資としては過去最大規模である。

テネシー州に1カ所、ケンタッキー州に2カ所、合計3カ所の大規模なバッテリー工場を建設する。この工場は、フォードEVのFシリーズラインナップを拡充するための垂直統合型エコシステムを擁する、約6平方キロメートルに及ぶ3,600エーカーのキャンパス「ブルーオーバル・シティ」の一部を構成する。テネシー州の組立工場は2025年の生産開始時からカーボンニュートラルとなり、フル稼働後は埋立廃棄物がゼロになるとフォードは発表した。

両工場を合わせると、年間120GW時のバッテリー生産が可能になり、年間4億5,500万ガロンのガソリンを代替するのに十分な量になると予想されている。

DOEによると、本プロジェクトはテネシー州とケンタッキー州で合計約5,000人の建設雇用を創出する見込みで、ブルーオーバルSKは州政府と提携し、施設での雇用に向けた地元での訓練を目的とした新しい技術学校を支援している。

【参照ページ】
(原文)LPO Announces Conditional Commitment for Loan to BlueOval SK to Further Expand U.S. EV Battery Manufacturing Capacity
(日本語訳)LPO、BlueOval SK社向け融資の条件付コミットメントを発表 米国のEV用バッテリー生産能力をさらに拡大へ

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