Planet Tracker、生物多様性提案での投票行動分析。反対票を投じるのが多数派

5月24日、英環境シンクタンクNGOのPlanet Trackerが発表した、投資家の投票行動を分析した新しい調査によると、生物多様性提案に関する投票のほぼ3分の2(62%)が反対または投票されなかったことが判明した。世界のGDPの半分(44兆ドル)が自然に中程度または大きく依存しているにもかかわらず、投資家が依然として生物多様性の損失を真剣に受け止めていないことが示された。

Planet Trackerの最新レポート「Voting against nature」は、生物多様性提案に関する26,587件の投票を評価したもので、株主の判断の根拠を示したものはわずか7%で、そのほとんどが賛成票であったことが判明した。

生物多様性関連議案に反対した理由を開示しているファンドは、委任状が過度に規定的である(33ファンド)、会社がすでに報告している(32)、株主利益が不十分(31)、会社がすでに方針を持っている(28)などの理由を共有している。Planet Trackerの分析では、企業が弱い政策コミットメントを持っていたり、以前に設定した目標を達成した証拠がないにもかかわらず、このような結果となっており、生物多様性に対する不作為のリスクに関する認識の欠如を物語っている。

世界の資産運用会社トップ5のうち、BlackRock、Vanguard、SSGAの3社を詳しく分析したところ、持続可能な投資を公約しているにもかかわらず、彼らのサステナビリティファンドは80~100%の確率で生物多様性提案に反対票を投じ、その根拠を記録したものはなかった。

報告書によると、調査対象のサステナビリティファンドとESGファンドの大多数が生物多様性提案を支持し(76%)、他のファンドタイプ(38%)の2倍の割合を占めているが、投票数は3%に過ぎず、投票結果にはほとんど影響を与えていない。さらに、サステナビリティファンドの20%近くが生物多様性関連議案に反対票を投じており、株主が惑わされているのではないかと疑問を呈する理由にもなっていると述べた。

【参照ページ】
(原文)INVESTORS NOT WAKING UP TO NATURE LOSS RISK, WITH MAJORITY VOTING AGAINST BIODIVERSITY PROPOSALS
(日本語参考訳)Planet Tracker、生物多様性提案での投票行動分析。反対票を投じるのが多数派

関連記事

おすすめ記事

  1. 2025-8-14

    特別対談:TISFD運営委員・木村武氏 × シェルパCSuO中久保菜穂 「サステナビリティ情報開示の新潮流:TISFDが示す設計思想と、日本企業の対応意義を問う」(前編)

    本記事は、ESG Journal を運営するシェルパ・アンド・カンパニー株式会社のCSuOが、サス…
  2. 2025-8-14

    特別対談:TISFD運営委員・木村武氏 × シェルパCSuO中久保菜穂 「サステナビリティ情報開示の新潮流:TISFDが示す設計思想と、日本企業の対応意義を問う」(後編)

    本記事は、ESG Journal を運営するシェルパ・アンド・カンパニー株式会社のCSuOが、サス…
  3. 【新着】ESRS改訂の全体像と今後への示唆ートピック別の変更点の整理ー

    2025-8-6

    【新着】ESRS改訂の全体像と今後への示唆ートピック別の変更点の整理ー

    ※本記事は、2025年7月31日時点の情報を元に作成している。今後の動向により内容は随時更新される…

ピックアップ記事

  1. 2025-9-16

    セブン&アイHD、TCFD・TNFD統合開示を公表 財務インパクトの試算と自然資本分析も深化

    9月8日、セブン&アイ・ホールディングスは、「気候・自然関連情報報告書―TCFD・TNFD統合開示…
  2. ESGフロントライン:米SEC委員長がサステナビリティ開示基準へ懸念を表明

    2025-9-15

    ESGフロントライン:米SEC委員長がサステナビリティ開示基準へ懸念を表明

    ※本記事は、ESG Journal編集部が注目のニュースを取り上げ、独自の視点で考察しています。 …
  3. 2025-9-12

    ISOとGHGプロトコル、温室効果ガス基準を統合へ 世界共通言語の構築目指す

    9月9日、ISO(国際標準化機構)とGHGプロトコルが、既存のGHG基準を統合し、新たな排出量算定…

““登録01へのリンク"

ページ上部へ戻る