6月8日、気候に焦点を当てた投資家エンゲージメントネットワーク「Climate Action 100+」(CA100+)は、温室効果ガス排出大企業による気候移行計画の実施に向けて行動の焦点を移した「フェーズ2」を開始したことを発表した。
2017年に発足した「 Climate Action 100+ 」は、世界の平均気温上昇を1.5度に抑えるために、世界最大の企業の温室効果ガス(GHG)排出企業を対象に、気候変動に対して必要な行動を取ることを推進し、事業戦略をネット・ゼロに合わせることを目指す投資家イニシアティブである。
本ネットワークは、68兆ドル(約1京円)以上の資産を持つ700以上の投資家が参加するまでに成長した。今年初めには、米国共和党の州検事団が大手資産運用会社に書簡を送り、CA100+のような団体への参加は、投資家の受託者責任の遵守や反トラスト法の遵守に懸念をもたらすと警告している。
CA100+によると、ネットワークの第2フェーズは、最初の5年間の成功に基づくもので、最初に焦点を当てた企業の75%がネット・ゼロにコミットしている。しかし、CA100+は最近、企業が脱炭素化目標の設定を大きく前進させた一方で、多くの企業がそれに見合った移行戦略の設定を進めていないことを明らかにした。
フェーズ2では、CA100+は、企業の気候変動に関する情報開示から、気候変動対策計画の実施に重点を置くことになる。例えば、「気候変動に関する強力なガバナンスの枠組みを導入する」という企業への要求に、「気候変動リスクに対する取締役会の説明責任と監視を明確にする」という項目を追加し、「気候変動の開示の強化」だけでなく、目標を達成するための強固な移行計画の実行も求めるようになっている。
また、CA100+では、より強固なエンゲージメント戦略を推進するため、「リードセクターインベスター」「リードテーマインベスター」といった投資家のカテゴリーを新たに設け、リードインベスターは、特定行動やエスカレーション戦略などを含む年次エンゲージメントスケジュールを提出する責任がある。
さらに、新しいフェーズでは、強化されたネット・ゼロ企業ベンチマークを利用する。CA100+は、温室効果ガス排出量の削減、ガバナンスの改善、気候関連の財務情報開示の強化を含む、イニシアティブの3つのハイレベルなコミットメント目標に対する個々のフォーカス企業のパフォーマンスを、投資家に詳細かつ比較評価させるために、2021年にネット・ゼロ企業ベンチマークを導入した。 今回のベンチマーク更新では、排出量削減とその原動力、1.5℃の道筋に沿った企業の評価、ネット・ゼロ移行計画などの分野に、より強く焦点を当てる。
【参照ページ】
(原文)CLIMATE ACTION 100+ ANNOUNCES ITS SECOND PHASE.
(日本語訳)climate action 100+、第2弾を発表。