6月7日、ドイツはエネルギー多消費型産業の企業が低炭素な生産プロセスや技術に投資することを支援することを目的とした15年間の補助金制度、Carbon Contracts for Difference (CCfD) の開始を発表した。
Robert Habeck経済・気候行動相によると、新制度の予算は「2桁億ユーロの半ば」に達すると予想され、業界の予想では最大500億ユーロ(約7兆円)に達するとされている。
ドイツ経済・気候保護省(BMWK)は、本制度の開始を記念したプレゼンテーションの中で、ドイツの炭素排出量の20%以上を産業界が占めていることから、2045年の気候中立目標を達成するためには、産業界の変革が必要であると述べている。
新プログラムは、企業が脱炭素型製造業への投資を阻む高いコストと投資リスクに対処することを目的としている。本プログラムでは、従来の化石燃料を利用する競合他社と比較して、低炭素施設を運営する際の「価格リスク」から企業を保護し、価格差以外の設備投資と運営コストは企業が負担することを目的とした「気候保護協定」が提供される。
本制度はオークション方式を採用しており、企業は価格差に基づき、1トンのCO2排出を回避するために必要な政府の支援額を算出し、入札を行う。入札が成立した場合、企業には、入札値に対する実際の追加コストに応じた補助金が変動的に支払われる。クリーンエネルギー技術の競争力が高まり、EU排出権取引制度(ETS)に基づく炭素価格が上昇するにつれ、格差は時間の経過とともに縮まっていく見込みである。
また、本プログラムの期間中に、低炭素生産プロセスが従来の方法よりも最終的に安くなった場合、企業はその差額を返済することが求められる。
本プログラムは中堅企業を対象に設計されており、入札参加資格は年間排出量が10キロトンを超える企業である。また、鉄鋼、化学、セメントなどの排出集約型産業に属し、現行システムより90%以上排出量が少ないシステムに投資することも条件としている。
米国、EU、カナダが最近発表した大規模なエネルギー転換投資計画により、世界の主要経済国がよりクリーンなエネルギーシステムと産業への世界的な移行に参加する機会を得るために、本プログラムはドイツの国際競争の激化への対応策としても機能している。
【参照ページ】
(参考文献)Germany to provide industry with €50 billion for decarbonization purposes