4月26日、 金融シンクタンクのPlanet Trackerが新たに行った調査によると、世界最大の繊維企業の中には、役員報酬を環境・社会・ガバナンス(ESG)パフォーマンスと関連付けることができていない企業があることが明らかになった。
Planet TrackerのTextiles Compensationレポートでは、トップ1の繊維ブランド30社を分析し、Anta Sports、Gap、Levi Strauss、Nordstrom、Under Armour、Victoria’s Secretを含む半数以上の企業(17社)が、給与とESG指標の間にまったく関連がないことを明らかにした。
S&P500企業の70%がサステナビリティ指標を役員報酬プログラムに組み込んでいることを考えると、繊維産業は世界の排出量の約10%を占めているにも関わらず、より良いサステナビリティ・パフォーマンスのインセンティブを与える上で遅れをとっていると言える。
Planet Trackerの調査では、報酬をESGパフォーマンスと整合させている大多数の企業(13社)のアプローチが不十分であることも判明している。報酬プログラムが意味のある変化をもたらすことを確実にするために、企業はサステナビリティの改善に関連する明確で定量的な年間目標を設定する必要がある。
Planet Trackerによると、役員報酬プログラムにおいて、サステナビリティに関連した明確な年間目標と報告を行っている企業は、AdidasとPumaの2社のみであることがわかった。
本報告書は投資家に対し、以下のことを確認し、効果的な持続可能性に連動した業績連動報酬を支持するよう求めている。
- 業績連動報酬は実質的なものであること:企業は、サステナビリティの業績に基づいて、報酬の10%以上をリスクとして設定する必要がある。
- 目標と結果が独立して検証されていること:企業は、具体的な目標の設定と開示を企業に求めるSBTiのようなイニシアチブに合わせるべきである。
- 目標が定量的であること:サステナビリティ目標は、利益目標と同様に、明確かつ定量的であるべきである。
- 目標は年次および長期的なものであること:目標は、漠然とした方向性を示すのではなく、年次的なものであるべきである。
- サステナビリティ目標は財務目標から独立していること:目標は収益目標に従属するのではなく、独立したものでなければならない。
- 達成状況が明確に開示されていること:企業は、方向性のみを報告するのではなく、何が達成され、何が達成されなかったかを開示すべきである。
【参照ページ】
(原文)TEXTILES INDUSTRY OUT OF FASHION WITH FAILURE TO LINK EXECUTIVE PAY WITH SUSTAINABILITY PERFORMANCE
(日本語訳)Planet Tracker、アパレル業界のサステナビリティを分析したレポートを発表