BASF等4社による共同プロジェクト、多層包装のクローズド・ループ・リサイクルに成功

5月3日、BASF、Krones、SÜDPACK、TOMRAの4社が参加する共同プロジェクトにより、PET/PE多層包装を個々のコンポーネントに分離し、原材料として材料サイクルに戻すことが可能であることが証明された。フレンスブルクのクロネス・パイロット工場で行われた最初の工業試験で、PET/PEコンポーネントの69パーセントを完全に分離し、さらに12パーセントを部分的に分離することに成功した。本試みは、多層包装をリサイクルするために既存のインフラのみを使用する。

プロジェクトの第一段階は、2021年初めにTOMRAがPET/PEトレーで最初の選別試験を行ったときに開始された。これらのトレーは、BASFが開発した「剥離接着剤」を使用してSÜDPACKが製造したもの。食品、非食品、医療品の包装用高性能フィルムのトップメーカーであるSÜDPACKは、廃棄物ゼロの企業になることを約束している。

マテリアルサイクルを完結させるためには、リサイクル可能な多層フィルムをまず廃棄物の流れから分別する必要があった。このステップの成功の決め手となったのは、TOMRAのAUTOSORTTM技術によるリサイクル可能なPET/PEトレイとリサイクル不可能なトレイの分離である。

特にプラスチックのリサイクルシステムを開発するKronesは、2022年7月にプロジェクトチームに参加。同社のパイロットプラントの1つで、ラミネートされたPET/PEフィルムを工業規模で単層に分離することが可能かどうかを検証するための試験が行われた。PETのリサイクルによく使われる標準的な高温洗浄プロセスを適用した結果、分離されたPETとPEはモノマテリアルとして再利用できるようになった。

多層フィルムは、食品業界を中心に、さまざまな包装材に使用されているが、これまで多層フィルムのリサイクルは、フィルムが異なる素材でできているため、困難であることが指摘されていた。欧州グリーンディールでは、2030年までに包装材を大きくリサイクルできるようにすることが規定されている。今後、その詳細は「包装・包装廃棄物規則(PPWR)」で規制される予定。

【参照ページ】
(原文)Collaboration project shows: multi-layer packaging can be separated and recycled on an industrial scale
(日本語訳)BASF等4社による共同プロジェクト、多層包装のクローズド・ループ・リサイクルに成功

関連記事

“セミナーへのリンク"

おすすめ記事

  1. ウェルビーイングとは?5つの要素から企業に求められる対応を解説

    2024-5-15

    ウェルビーイングとは?5つの要素から企業に求められる対応を解説

    上場企業であれば気候変動の情報開示が当たり前になってきたのと同じく、人材のウェルビーイングの実現に…
  2. CSRDとは。日本企業に与える影響と今すぐできる対応を紹介。

    2024-5-7

    CSRDとは。日本企業に与える影響と今すぐできる対応を紹介。

    CSRD(Corporate Sustainability Reporting Directive…
  3. ESG投資とは。改めて考える重要性とESG経営のメリット・今後の課題

    2024-4-30

    ESG投資とは。改めて考える重要性とESG経営のメリット・今後の課題

    ESG投資の流れは国内外において拡大を続けている分野であり、注目を集めている。投資家のニーズに応え…

ピックアップ記事

  1. 2024-11-22

    SEC、インベスコを誤解を招くESG投資表示で告発、1,750万ドルの罰金

    11月8日、米国証券取引委員会(SEC)は、アトランタ拠点の登録投資顧問会社インベスコ・アドバイザ…
  2. ESGセミナー・イベント一覧(2024年11月以降)

    2024-11-18

    ESGセミナー・イベント一覧(2024年11月以降)

    サステナビリティを推進には新しい知見の収集が必須。しかし、必要なセミナー情報を見つけるのに時間がか…
  3. 2024-11-15

    【PR】12/3 記念イベントESG評価スコア改善『S&Pに聞く!2025年に向けたCSA徹底解剖』 (オンライン)

    いつもESG Journal Japanをご覧いただきましてありがとうございます。 ESG評…

““登録03へのリンク"

ページ上部へ戻る