5月9日、オーストラリアのアルバニーズ政権は、オーストラリアの再生可能水素産業の発展を促進するために20億ドル(約1,800億円)を投資する計画で、新しい「水素ヘッドスタート」プログラムを開始すると発表した。
この投資計画は、政府の2023-24年度予算の発表と同時に発表され、グリーン水素、産業の脱炭素化、住宅のエネルギー効率化などの分野を対象とした、クリーンエネルギーに焦点を当てたプログラムやイニシアティブに40億ドル(約3,600億円)以上を割り当てた。
オーストラリアのクリーンエネルギーに重点を置いた予算は、2022年オーストラリアの気候変動目標が法律で制定されたことに続くもの。その中には温室効果ガス排出量を2030年までに43%削減(2005年比)し、2050年までにネット・ゼロを達成するという目標も含まれる。 これは、米国、EU、カナダが最近発表した大規模なエネルギー移行投資計画により、世界中の主要経済国がよりクリーンなエネルギーシステムと産業への世界的な移行に参加する機会を活用する準備を整えている中で行われる。
水素は、クリーンなエネルギーの未来への移行において重要な構成要素のひとつと考えられている。特に、金属製造や大型輸送など、風力や太陽光などの再生可能エネルギーのソリューションが現実的ではない、排出量削減が困難なセクターのために使用されている。
年間約9,000万トンの水素が生産されているが、その大部分は化石燃料を使用して抽出されており、汚染物質やGHGを排出している。他の材料から水素を抽出するプロセスの電源に再生可能エネルギーを使用するグリーン水素のようなクリーンな水素能力の開発には、インフラ、電解、輸送などの分野で大規模な投資が必要となる。
新プログラムは、初期のプロジェクトの商業的ギャップを埋めることで、大規模な戦略的水素プロジェクトの開発を支援することを目的として、20億ドル(約1,800億円)を投資する予定である。
政府は、本プログラムにより、オーストラリアは2~3件の旗艦プロジェクトを通じて、2030年までに最大1GWの電解槽容量を確保する軌道に乗り、同国のグリーン水素産業が2050年までに500億ドル(約4.4兆円)の追加GDPを生み出し、1万6,000人以上の雇用を創出できると予測した。
水素プログラムに加え、産業界の脱炭素化に焦点を当てたPowering the Regions Fundに14億ドル(約1,260億円)を割り当てた。エネルギー効率の向上、低炭素プロセスへの移行、電化、炭素回収などのプロジェクトに6億ドル(約540億円)、鉄鋼・セメント・石灰・アルミニウム・アルミナ産業向けのエネルギー移行関連投入に焦点を当てた4億ドル、新しいクリーンエネルギー産業の育成と既存産業の脱炭素化のイノベーションを支援する4億ドル(約360億円)を含む。
また、家庭や中小企業を対象としたエネルギー効率化の取り組みに16億ドル(約1,400億円)の投資を行う。銀行などの金融機関と提携して太陽光発電や最新の家電製品などの改良を行う家庭用エネルギー改良基金の設立に13億ドル(約1,100億円)、社会住宅向けのエネルギー関連の改良に3億ドル(約270億円)、電化や効率の良いエネルギー使用を支援する支出に対する中小企業の税控除3億1,000万ドル(約280億円)などを予算化している。
【参照ページ】
(原文)Australia to invest $1.4 bln to scale up renewable hydrogen industry
(日本語参考訳)オーストラリア、グリーン水素産業の規模拡大に約1,800億円を投資