4月24日、デロイトが発表した新しい調査結果によると、組織の財務チームがESG財務指標を収集し開示する能力に自信を持っている専門家は半数以下にとどまり、データ収集及び人材不足がESG情報開示の課題として上位に挙げられている。
また、ESG情報開示に向けて議論するイベントで3,000人以上の専門家を対象に行われた調査では、大きなメリットがあると認識されているにもかかわらず、ESG情報開示の専門家を配置している組織はごくわずかであることが示された。
米国、EU、英国をはじめとする多くの国・地域で新たなESG開示要件が導入され、世界中の企業が気候やサステナビリティに関連するリスク、機会、計画について報告する規制要件の強化に対応することが求められている中、今回の世論調査の信頼度は低いものとなっている。
デロイトによると、世論調査の回答者のうち、組織の財務チームが規制遵守の目的でDEI、サステナビリティ、ガバナンスなどのESG指標を収集し開示する能力に自信があると回答したのは、わずか45.7%だった。
一方、ESG情報開示能力に対する自信は、ESG情報開示専任のスタッフがいる組織や、財務チームがESG問題に関与している場合に著しく高まることが、世論調査で明らかとなった。「ESGコントローラー」と呼ばれる、ESGに関する財務報告や統制の側面に特化した担当者がいる組織における専門家は、組織のESG情報開示能力に対する自信を75.5%と回答し、そうした役職がない組織よりも30ポイントも高くなった。同様に、財務部門がESGに関してある程度の影響力を持つ組織の専門家は、ESG情報開示に自信があると回答した割合が60.7%と、財務部門がESGに関して影響力を持たない組織の27.2%と比較して2倍以上となった。
本調査で明らかになった自信の差にもかかわらず、回答者の5人に1人未満(16.4%)が、自分の組織にESGコントローラーがいると答え、41.6%が採用する予定はないと回答。また、来年中にそうしたポジションを追加する予定だと答えたのはわずか7.2%だった。同様に、半数強(53.4%)の専門家が、財務チームがESG問題にある程度の影響力を持つと回答しているものの、取締役会や経営会議への出席、方針の決定への関与、経営陣へのESGレポートの発行など、高いレベルの影響力を報告したのはわずか17.2%だった。
コントローラーシップ・チームがESGへの取り組みにおいて直面する課題についても調査しており、26.3%の専門家がデータ収集を最大の課題として挙げ、次いでESGコントローラーシップの課題をサポートできる適切なスキルを持つスタッフの不足が17.6%、効果的にESG情報開示を行うための組織プロセスの変更が17.0%となった。ESGコントローラーがいる組織の専門家は、データ収集が最大の課題であると回答する割合が非常に高く、40%近くを占めている。
【参照ページ】
(原文)Few are Confident in Their Organizations’ Ability to Report on ESG Financials
(日本語訳)デロイト、組織のESG情報開示に自信のある専門家は半数以下と発表