ADNOC、低炭素ソリューションと新エネルギーに約1.9兆円を投入

1月5日、低炭素原単位エネルギーの供給者であるADNOCは、世界規模の脱炭素化を進展させるための大胆な新戦略を発表した。本発表は、2022年11月のADNOC取締役会による、低炭素成長戦略の実施を加速するためのガイダンスと、2050年までにネット・ゼロを目指すという意欲的な目標に続くものである。 これには、低炭素型エネルギー生産会社としてのADNOCの優れた実績に基づいており、ゼロカーボングリッド電力の使用、日常業務におけるフレアリング・ゼロへの取り組み、地域初の大規模炭素回収プロジェクトの展開などが含まれる。

取締役会の指針に基づき、ADNOCは、2030年までに多様なバリューチェーン全体でさまざまなプロジェクトを推進するため、150億ドル(約1.9兆円)を割り当てた。 本プロジェクトには、クリーン電力、炭素回収・貯留(CCS)、事業のさらなる電化、エネルギー効率化、ADNOCの長年のポリシーである日常的なガスのフレアゼロを実現するための新しい手段への投資が含まれており、ADNOCは、各プロジェクトが永続的かつ具体的な効果をもたらすよう、厳格な商業およびサステナビリティ評価を適用する。

同社は、年間最大80万トンのCO2を回収できるアル・レヤダ施設をベースに、UAEの地質特性を生かしてCO2を回収・貯蔵・吸収する技術を展開する計画を発表し、ハブシャン・ガス処理施設からの排出ガスを回収する次の大規模投資の準備に入る。同社の技術の根幹であるCCS拡張は、アブダビにおける水素および低炭素アンモニア製造能力の大幅なスケールアップを支援する計画となっており、アル・ルウェイズ工業都市やアブダビの化学、製造、工業部門の拡大を可能にする産業サービス・物流エコシステムのを通じて、世界規模の年間100万トンのブルーアンモニア製造施設を推進している。

また同社の新エネルギーポートフォリオの拡大は、主にマスダールへの出資を通じて行われる。マスダールはUAEのクリーンエネルギー大国で、現在20ギガワット(GW)以上のクリーンエネルギーを保有し、2030年までにその能力を100GWまで高める計画である。

2022年1月以降、ADNOCは系統電力の100%をエミレーツ・ウォーター・アンド・エレクトリシティ・カンパニー(EWEC)の原子力および太陽光エネルギー源から供給を受けており、この種のクリーン電力契約を通じて大規模な脱炭素化を実現した業界初の大手企業となった。加えて、メナ地区で世界初の海底送電網を建設する38億ドル(約4,838億円)の契約を締結し、同社の海上事業を陸上送電網に接続した。

【参照ページ】
(原文)ADNOC Allocates 15 Billion to Low-Carbon Solutions
(日本語参考訳)ADNOC、低炭素化ソリューションに150億円を充当

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