12月15日、国際環境NGOであるMARKET FORCESは日本企業が進めるアジアでの液化天然ガス(LNG)事業計画を批判するキャンペーンを開始した。
本キャンペーンで主張した主な要点は以下である。
- LNGへの依存は、日本や他の国々を激しい価格変動と財務リスクにさらす。
- LNGに切り替えても脱炭素にならない。
- 日本企業が進めるアジアのLNG開発が、パリ協定で世界が目指す気候目標達成を頓挫させ、日本の評判を脅かす恐れがある。
- 再生可能エネルギーを拡大し、LNGから移行することが、日本のエネルギー自給率向上につながる。
MARKET FORCESはLNGへの依存が強まるほど、エネルギーシステムがより脆弱化すると指摘した。LNGは国際情勢に左右されやすく、価格変動の激しい化石燃料であることが理由であるという。三菱商事やJERAなどの企業のみならず、エネルギー資源のほとんどを輸入に頼る日本にとってはなおさら、極めて財務リスクが高い資源であるという。
日本の平均LNG輸入価格は、2020年のMMBtuあたり7.78ドル(約1,018円)から直近では20ドル(約2,616円)に高騰し、未契約のLNG価格はMMbtuあたり70ドル(約9,156円)に達している。このことからも分かる通り、中長期的なLNG価格を見通すことは困難だという。また、日本は輸入LNGに年間3兆円も費やしており(2020年)、貿易赤字の拡大を招いていることも指摘した。
最新分析によると、火力発電の燃料を石炭からガスに切り替えても脱炭素につながらず、パリ協定の気候目標を達成できるほどの温室効果ガス削減につながらないことが明らかになっているという。そのため、石炭からLNGへの切り替えは、ネット・ゼロ達成にふさわしくないと結論づけた。
一方で、LNGではなく再生可能エネルギーを拡大し移行することが、日本のエネルギー自給率向上につながることも言及した。
【参照ページ】
LNGの拡大は、日本の未来への負債