11月28日、Rolls-RoyceとeasyJetは、水素を動力源とする航空機用エンジンの初飛行に成功したと発表した。この成果は、2030年代半ばから様々な航空機の動力源となる水素の可能性を実証することを目的として、両社が今年開始したものである。
航空業界は、温室効果ガス(GHG)排出の重要な原因として注目されており、世界全体の排出量の2~3%を占めている。航空機産業が気候に与える影響に対処するため、いくつかの取り組みが進められている。一般的には、航空機の効率向上、持続可能な航空燃料(SAF)の開発、電気や水素ベースなどの低炭素またはゼロ炭素推進システムを利用した航空機の開発などの取り組みがある。
現在、多くの取り組みが推進力の電動化やSAFなど、より迅速な脱炭素化を可能にする分野を対象としているが、水素はカーボンフリーな方法で製造できる可能性があり、重量あたりのエネルギーがジェット燃料よりも大幅に多いという特性から、業界内ではより有望な長期ソリューションとして捉えられている。
地上試験は、初期コンセプトの実証機で、Rolls-RoyceのAE 2100-A地域航空機用エンジンを改造し、EMEC(欧州海洋エネルギーセンター)からグリーン水素を供給して、英国MOD Boscombe Downの屋外施設で実施された。
この試験は、両社による航空輸送の脱炭素化を支援するための最近のコミットメントを受けたもので、Rolls-Royceによる水素燃料電池やマイクログリッドからハイブリッド電気や完全電気技術まで、低排出またはゼロエミッション製品の導入計画や、今年発表したeasyJetのネット・ゼロロードマップは、同社の気候影響への対処と2050年までにネット・ゼロエミッション飛行を達成する計画の概要となっている。
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初期コンセプト地上試験の分析後、両社は、Rolls-Royce Pearl 15ジェットエンジンの本格的な地上試験に先立ち、一連のリグ試験を計画し続けると述べている。
【参照ページ】
(原文)Rolls-Royce and easyJet set new world first