コストコ、活動家のキャンペーンを受け、バリューチェーン全体の排出量目標を設定することを約束

 

11月15日、環境と社会に焦点を当てた投資家であるGreen Centuryは、1月のコストコの年次総会で、ネット・ゼロの目標を設定するよう気候変動に関する提案を行い、成功を収めたと発表した。

Green Centuryによると、コストコはS&P50社のうち、まだ主要な気候変動対策を設定していないわずか3社のうちの1社である。決議案では、この分野で同業他社に遅れをとると、コストコにとって「市場シェアの制限、政府の義務に対応できない、風評被害など」の重大なリスクが生じる可能性があると指摘し、Walmart、BestBuy、Target、McDonald’s、PepsiCo、Nestle、Kelloggなどの小売・食品競合企業がスコープ1、2、3の排出量を測定し、科学に基づく排出量の削減目標を追求していることに言及した。

本決議は、同社に対し、「2050年またはそれ以前にネット・ゼロエミッションを達成し、2030年より前に適切な排出削減を実施するために、同社の全バリューチェーンからの排出を含む、短期、中期、長期の科学に基づく温室効果ガス排出削減目標を採用する」ことを求めている。

コストコの取締役会は、本決議に反対するよう株主に勧告したが、70%の株主の支持を得て可決された。

これまで、コストコは、Scope1と2の目標を部分的に設定しているだけで、冷蔵装置におけるハイドロフルオロカーボン(HFC)の段階的廃止や再生可能エネルギーの目標などの分野を対象とし、年間2%の排出量削減を約束している。コストコは、小売業の温室効果ガス排出量の大部分を占めるサプライチェーンからの排出を含むスコープ3の排出量については、まだ公表していない。

Green Centuryによると、コストコは、2022年にスコープ3の総排出量と行動計画を開示し、2023年にスコープ3の削減目標を設定することを約束した。また、2022年12月に改訂された気候変動対策計画の一環として、スコープ1と2の排出量目標と行動計画を更新することも約束している。

Green Centuryの株主擁護担当ディレクター、Annie Sandersは、同社が気候目標を設定する動きを認める一方で、さらに踏み込んで、科学的根拠に基づく目標設定イニシティチブ(SBTi)と目標を整合させるよう求めた。

【参照ページ】
(原文)RELEASE: Green Century shareholder proposal prompts Costco commitment to set new climate emissions reduction targets
(日本語訳)コストコ、活動家のキャンペーンを受け、バリューチェーン全体の排出量目標を設定することを約束x

関連記事

“ホワイトペーパーへのリンク"

おすすめ記事

  1. ウェルビーイングとは?5つの要素から企業に求められる対応を解説

    2024-5-15

    ウェルビーイングとは?5つの要素から企業に求められる対応を解説

    上場企業であれば気候変動の情報開示が当たり前になってきたのと同じく、人材のウェルビーイングの実現に…
  2. CSRDとは。日本企業に与える影響と今すぐできる対応を紹介。

    2024-5-7

    CSRDとは。日本企業に与える影響と今すぐできる対応を紹介。

    CSRD(Corporate Sustainability Reporting Directive…
  3. ESG投資とは。改めて考える重要性とESG経営のメリット・今後の課題

    2024-4-30

    ESG投資とは。改めて考える重要性とESG経営のメリット・今後の課題

    ESG投資の流れは国内外において拡大を続けている分野であり、注目を集めている。投資家のニーズに応え…

ピックアップ記事

  1. 2024-7-23

    シェルパ、東洋経済新報社とシステム連携契約を締結

    7月23日、シェルパ・アンド・カンパニー株式会社が開発・提供する企業向けESG情報開示支援クラウド…
  2. 2024-7-17

    GRI、新たにCSRD/ESRS開示のためのサポートサービスをリリース

    7月10日、GRI(Global Reporting Initiative)は、新しいGRI-ES…
  3. 2024-7-17

    JCI、1.5℃目標に整合する2035年目標を政府に求める。216団体が賛同

    7月8日、気候変動イニシアティブ(JCI)は、「1.5度目標と整合する野心的な2035年目標を日本…
ページ上部へ戻る