11月9日、インド政府は、再生可能エネルギー、クリーンな交通、持続可能な水などの環境維持プロジェクトに資金を提供するグリーンボンドの初回発行に向け、ソブリン・グリーンボンドの枠組みを公開した。
インドは2月の予算発表で初めてグリーンボンド市場に参入する意向を示し、ニルマラ・シタラマン財務相は「経済の炭素集約度を下げるのに役立つ公共部門プロジェクト」に資金を充当すると述べた。
インド財務省が最近発表した借入計画では、2023年3月までの今年度、グリーンボンドから約20億ドル(約2790億円)を調達することを目指していることが示されている。
今回の枠組みは、昨年のCOP26での2070年までのネット・ゼロ達成を含む、一連の気候関連目標の発表に続くものだ。8月には、排出原単位を45%削減し、非化石エネルギー源による電力供給を50%程度にすることを含む「国家決定貢献(NDC)」の強化が発表されている。2030年までに非化石エネルギー容量を5億kWにし、炭素排出量を10億トン削減することを目標としている。
本枠組みは、グリーンボンドの発行による収益の適格な使用、プロジェクトの選択と評価、収益の管理、報告義務について概説している。
また、同枠組みでは、再生可能エネルギー、エネルギー効率、クリーンな輸送、気候変動への適応、持続可能な水・廃棄物管理、汚染防止と管理、グリーンビルディング、生物資源の持続可能な管理と土地利用、陸上・水上の生物多様性保全など、幅広いグリーンプロジェクトのカテゴリーが適格として挙げられている。
さらに、化石燃料の採掘に関わるプロジェクトなど、除外されるプロジェクトも列挙されている。除外プロジェクトには、原子力発電や25MWを超える水力発電所も含まれている。
ノルウェーのセカンドパーティオピニオン(SPO)プロバイダーであるCICEROは、グリーンボンドフレームワークを評価し、「ミディアムグリーン」、ガバナンスの評価は「グッド」とした。CICEROの報告書では、グリーンボンドで調達する予定の資金は、「低炭素で気候変動に強い未来への移行を目指すインドの取り組みにおいて重要」であり、「資金の管理および報告に関する枠組みの手続きは適切と考えられる」としながら、環境影響やリスクの評価・比較方法に関する枠組みの記述は「やや不明瞭である」と指摘している。
【参考ページ】
(原文)India’s first green bonds to fund new climate finance projects
(日本語訳)インド初のグリーンボンドで新たな気候変動対策プロジェクトに資金提供