EU、欧州全域でエネルギー配給の「緊急措置」を発表

9月30日、欧州連合(EU)は大陸全体でエネルギー消費を制限するための抜本的な「緊急措置」を可決したと発表した。EU加盟国は「ガスの使用量を減らすというこれまでの約束に加え、この冬のピーク時には5%の電力配給を行う」と指摘する。7月下旬、EU諸国は天然ガス需要を15%削減することで合意した。

EUの27カ国が可決した初の緊急対策は、世界で最も工業化された地域のひとつであるEUの電力需要を削減することを目的としている。EUのエネルギー相は「電力需要を削減するための共通措置」に合意したと、声明で宣言した。

同緊急パッケージは、ウクライナ戦争の影響で欧州のエネルギー企業が上げている巨額の利益の「再分配」を可能にすると、EUは主張している。EUの声明によると、ブリュッセルは「エネルギー部門の余剰収益を回収し、ヨーロッパの消費者に再分配する」ことになるという。

EUのエネルギー担当閣僚は、電気料金の高騰を抑制し、エネルギー危機への加盟国の対応を調整するための最初の緊急措置パッケージを承認した。このパッケージは、1ヵ月足らずの間に交渉されたもので、節電の義務化、市場収入の超過分の上限、企業の余剰利益を捕捉するための課税が含まれている。

本合意は、ユーロ圏のインフレ率が、主にエネルギー料金の高騰によって、単一通貨の歴史上初めて2桁(10%)に達したことを受けたものである。このパッケージは、エネルギー危機に対するEUの対応として決定的な一歩を踏み出すものであるが、冬の季節が到来する前にさらなる対策が必要であるという点では、幅広いコンセンサスがある。

欧州のロシアエネルギーへの致命的な依存をめぐるドナルド・トランプ前米大統領の度重なる警告を無視してきた欧州の指導者たちは、ようやく現実に目覚めつつある。

チェコのヨゼフ・シケラ産業相は、「我々はロシアとエネルギー戦争状態にある」と、EUの緊急対策を擁護する発言をした。ロシアのNord Stream 1と2が修理不能なほど損傷しているため、ヨーロッパは寒くて暗い冬に向かっている。欧州のガスと石油の埋蔵量が減少しているため、さらなるエネルギー配給と削減が予想されるとメディアは報じている。

【参照ページ】
(原文)Council agrees on emergency measures to reduce energy prices
(日本語訳)エネルギー価格低減のための緊急対策で議会が合意

関連記事

“セミナーへのリンク"

おすすめ記事

  1. ウェルビーイングとは?5つの要素から企業に求められる対応を解説

    2024-5-15

    ウェルビーイングとは?5つの要素から企業に求められる対応を解説

    上場企業であれば気候変動の情報開示が当たり前になってきたのと同じく、人材のウェルビーイングの実現に…
  2. CSRDとは。日本企業に与える影響と今すぐできる対応を紹介。

    2024-5-7

    CSRDとは。日本企業に与える影響と今すぐできる対応を紹介。

    CSRD(Corporate Sustainability Reporting Directive…
  3. ESG投資とは。改めて考える重要性とESG経営のメリット・今後の課題

    2024-4-30

    ESG投資とは。改めて考える重要性とESG経営のメリット・今後の課題

    ESG投資の流れは国内外において拡大を続けている分野であり、注目を集めている。投資家のニーズに応え…

ピックアップ記事

  1. 【PR】11/20ESG Journal Cafe 『SSBJ基準対応に向けたギャップ分析と改善アプローチを徹底解剖』

    2024-10-28

    【PR】11/20ESG Journal Cafe 『SSBJ基準対応に向けたギャップ分析と改善アプローチを徹底解剖』

    「ESG Journal Cafe」は、「ESG Journal Japan」が主催する会…
  2. 2024-10-24

    S&Pグローバル、「S&Pグローバル気候センター・オブ・エクセレンス」を発表

    10月10日、S&Pグローバルは、「S&Pグローバル気候センター・オブ・エクセレン…
  3. お役立ちツール「開示基準の早見表」のご紹介

    2024-10-15

    お役立ちツール「開示基準の早見表」のご紹介

    ESG Journalでは、実務に役立つ資料やツールを無料で公開しています。今回は、大好評の「開示…

““登録01へのリンク"

ページ上部へ戻る