ECB、55兆円超の社債ポートフォリオを脱炭素化するため、気候スコアを導入

ECB、55兆円超の社債ポートフォリオを脱炭素化するため、気候スコアを導入

9月19日、欧州中央銀行(ECB)は、保有する3,850億ユーロ(約55兆円)を超える社債の脱炭素化計画について、今後の購入判断に反映させる気候変動スコアの導入など、詳細を明らかにした。

ECBの社債ポートフォリオをより気候変動に強いものにするためのプロセスは、2022年10月に開始される予定だ。

ECBは7月に、金融政策の枠組みに気候変動への配慮を盛り込む意向を表明しており、その一環として、保有する社債のポートフォリオの脱炭素化や、担保物件に対する気候変動関連の開示要求の導入などを予定している。

ECBは、この措置はユーロシステムの気候関連金融リスクへのエクスポージャーを減らし、EUの気候ニュートラル目標に沿った経済のグリーン転換を支援することを目的としていると述べている。

新しい気候スコアは、現在3440億ユーロ(約49兆円)の社債購入プログラム(CSPP)や、現在(7月現在)430億ユーロ(約6兆円)の社債を保有するパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)など、ユーロシステムのすべての社債購入に考慮される。

ユーロシステムは、気候変動対策に強い発行体の債券購入を増やし、弱い発行体の購入を減らすことに加え、スコアを活用して、スコアの低い発行体の債券に満期制限を設ける予定である。

新しいスコアは、過去に遡っての排出量スコア、未来に向けた目標スコア、気候変動開示スコアなどのサブスコアに基づき設定される。バックワードルッキングスコアは、発行体レベルのScope1と2、セクターレベルのScope3のデータを含み、セクター内の企業および企業全体が対象となる。Forward-looking スコアは、発行体が設定した将来の排出量削減目標を考慮し、その目標が科学的根拠に基づくかどうか、また、第三者によって検証されているかどうかを考慮するものである。気候変動開示スコアは、発行者が提供する排出量データの質を反映し、質の高い開示を行っている発行者に報いるものであり、その報告が信頼できる第三者によって検証されているかどうかが考慮される。

ECBは、2023年第1四半期から保有する社債の気候関連情報の公表を開始すると表明しているが、スコアは一般に公開されることはない。

【参照ページ】
(原文)ECB provides details on how it aims to decarbonise its corporate bond holdings
(日本語訳)ECB、55兆円超の社債ポートフォリオを脱炭素化するため、気候スコアを導入

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