8月15日、世界銀行は、食料価格の高騰が貧困、飢餓、栄養失調を拡大させている状況を分析したレポートを発表した。本レポートには、食料不安の高まりと世界銀行の対応がまとめられている。
ウクライナ戦争、サプライチェーンの混乱、そしてCOVID-19パンデミックの継続的な経済的影響により、食料価格は世界各地で高止まりしている。2022年4月から7月にかけての情報では、ほぼすべての低・中所得国で高いインフレ率が示されている。低所得国の92.9%、低中所得国の92.7%、高中所得国の89%で5%を超えるインフレ水準となっており、多くが2桁のインフレ率を経験している。高所得国でもインフレ率が高い国の割合が急増し、約83.3%が高い食品価格のインフレに見舞われている。
国連世界食糧計画(WFP)によると、2022年6月までに、短期的に食料へのアクセスが制限され、生命や生活が危険にさらされている急性食料不安の人々は、82カ国で3億4500万人に増加した。また、WFPと国連食糧農業機関(FAO)は、2022年6月から9月にかけて、20カ国・地域で急性食料不安が悪化する可能性があると警告している。
世界銀行が85カ国で行った調査では、COVID-19の大流行の最初の2年間で、かなりの数の人々が食料を使い果たしたり、消費量を減らしたりしていることが示されている。カロリー摂取量の減少や栄養状態の悪化は、貧困削減や健康における成果を脅かし、幼い子どもの認知発達に永続的な影響を及ぼす可能性がある。
複数の危機に直面する中、世界銀行は食糧と栄養の安全保障の強化、リスクの軽減、食糧システムの強化のため、短期および長期の対応策を展開している。
5月には、世界銀行グループとG7議長国が共同で「食料安全保障のためのグローバル・アライアンス」を開催し、進行中の世界的な飢餓危機に対して迅速かつ協調的な対応を図っている。
現在進行中の食糧安全保障の危機に対する包括的でグローバルな対応の一環として、世界銀行グループは、農業、栄養、社会的保護、水、灌漑などの分野における既存および新規のプロジェクトに最大300億ドル(約4兆7,129億円)を利用可能にしている。本融資には、食料・肥料生産の促進、食料システムの強化、貿易の拡大、脆弱な世帯や生産者の支援などの取り組みが含まれる。
【参照ページ】
(原文)Food Security Update
(日本語訳)食料安全保障の最新情報