欧州委の共同研究センター(JCR)、欧州の干ばつ状況を評価した最新の報告書を発表

8月23日、欧州委員会の共同研究センター(JRC)は、欧州干ばつ観測所のデータと分析に基づく欧州の干ばつ状況の評価を更新した最新の報告書「Droughts in Europe – August 2022」を発表した。

本報告書によると、欧州の多くの地域で干ばつ状況が依然として深刻であることが明らかになった。EUの47%は依然として警告状態、つまり降水量が例年より少なく土壌水分が不足しており、17%は警戒状態、つまり植生や作物にも干ばつの悪影響が現れている。合計すると、欧州の64%が警報または警戒態勢にあり、火災の危険性がある地域がEU全域に広く広がっていることも一因となっている。

欧州委員会と科学者たちは、宇宙からも地上からも、利用可能な最高の技術を駆使してこの危機を図り、研究することで環境と市民を非常事態から守るための努力を主導している。水と熱のストレスは、2022年8月のJRC MARS Bulletinで報告されたように、夏作物の収量に関するこれまでのネガティブな見通しを大幅に悪化させる。EUレベルでの穀物トウモロコシ、大豆、ヒマワリの現在の収量予測はそれぞれ、16%、15%、12%。5年平均を16%、15%、12%下回っている。深刻な降水量不足は、欧州全域のほぼすべての河川に影響を及ぼし、水力発電と他の発電所の冷却システムの両方のエネルギー部門、および河川輸送に影響を及ぼしている。

今後数週間はまだ供給が危ぶまれる可能性があるため、EU加盟国のいくつかは水の制限措置をとった。2022年11月までの今後数ヶ月間、ユーロ地中海西部では、例年より暖かく乾燥した状況が続くと予想されている。JRCの専門家によると、現在の干ばつは、少なくとも500年以来最悪の状態であるという。

【参照ページ】
Droughts in Europe in August 2022: severe rainfall deficit is affecting crops and increasing fire risks

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