7月15日、カナダの電力会社Ontario Power Generation(OPG)は、3億ドル(約400億円)の「原子力グリーンボンド」を発行すると発表した。これは、原子力発電の資金調達を目的とした初のグリーンボンド発行の1つだ。
本債券の収益は、ダーリントン原子力発電所の発電量を30年間延長するための改修工事の資金として使用される。
原子力は、カーボンフリーのエネルギーを大量に供給できることが証明されているが、放射性廃棄物の管理問題、ウラン採掘の問題、大事故の可能性など、原子力を取り巻く多くの既知の問題を考慮すると、原子力が持続可能な電力源と言えるかどうかは議論の余地が残されている。
原子力をクリーンエネルギー計画に含める動きは、EUのグリーン経済活動の分類システムであるEUタクソノミーに原子力が追加されたことで、大きく後押しされた。一部のEU加盟国や議員はこの動きを阻止しようと動いたが、今後原子力がクリーンエネルギーとして扱われる動きは加速する可能性がある。
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エネルギー転換計画における原子力の位置づけがより確実なものになれば、企業は原子力発電計画の資金調達に持続可能な金融手段を用いる可能性が高くなるだろう。昨年末には、カナダの原子力発電事業者ブルース・パワーが5億ドル(約700億円)の募集で初の原子力グリーンボンドを発行し、今月初めにはフランスの電力会社EDFがグリーンボンドの枠組みを更新して原子力発電を融資対象のカテゴリーに加えたが、同社は、原子力を対象プロジェクトとするグリーンボンド発行は他の発行とは別に管理するとしていた。
今月初めに、OPGはグリーンボンドの枠組みを更新し、ダーリントン改修工事や既存の原子力施設のメンテナンスに資金を提供できるようにした。
【参照ページ】
(原文)OPG issues inaugural nuclear green bond
(日本語訳)OPG、3億ドルの「原子力グリーンボンド」を発行