英国高等法院、政府に対しネット・ゼロ目標達成計画の詳細提示を命じる

7月22日、英国高等法院は、英国政府はネット・ゼロ・エミッションを達成するための戦略に関して十分な詳細を提供できていないとの判決を下し、来年初めにより詳細な計画を公表することを命じた。

英国政府のビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)は2021年10月にネット・ゼロ戦略を発表した。本戦略は、2019年の改正気候変動法の下で定められた要件である、2050年までにネット・ゼロ・エミッションを達成するという約束を実現する計画の説明を目的としていた。同法の一環として、政府のBEIS担当国務長官には、2050年の目標達成に向けた5年間の「炭素予算」提示が義務付けられている。

環境保護団体Friends of the Earth、ClientEarth、Good Law Projectが提起した訴訟によると、政府の戦略には気候目標の達成方法に関する重要な詳細が欠けているという。特に、炭素予算達成に向けた各政策の定量的な貢献度が欠けていると主張している。

裁判所は、BEISが提示した戦略には、「個々の政策の定量的効果」を含む重要な要素が欠けているとした。また、最新の炭素予算で明らかになった目標達成に向けた5%の不足を補うために戦略が依拠する政策の定性的詳細についても言及して、団体の主張を支持した。

今回の判決の一環として、BEISは、2023年3月末までに新たな報告書を公表するよう命じられた。本報告書には、炭素予算を達成するための提案と政策が示されており、時間軸や政策が経済のさまざまなセクターにどのような影響を与えるかといった詳細が記載されている。

【参照ページ】
(原文)Court orders UK government to explain how net zero policies will reach targets
(日本語訳)英国高等法院、政府に対しネット・ゼロ目標達成計画の詳細提示を命じる

関連記事

“ランキングのリンク"

おすすめ記事

  1. ウェルビーイングとは?5つの要素から企業に求められる対応を解説

    2024-5-15

    ウェルビーイングとは?5つの要素から企業に求められる対応を解説

    上場企業であれば気候変動の情報開示が当たり前になってきたのと同じく、人材のウェルビーイングの実現に…
  2. CSRDとは。日本企業に与える影響と今すぐできる対応を紹介。

    2024-5-7

    CSRDとは。日本企業に与える影響と今すぐできる対応を紹介。

    CSRD(Corporate Sustainability Reporting Directive…
  3. ESG投資とは。改めて考える重要性とESG経営のメリット・今後の課題

    2024-4-30

    ESG投資とは。改めて考える重要性とESG経営のメリット・今後の課題

    ESG投資の流れは国内外において拡大を続けている分野であり、注目を集めている。投資家のニーズに応え…

ピックアップ記事

  1. ESGフロントライン:潮流を読む~SEC気候開示規則の弁護を放棄ー規制後退の中で問われる企業の姿勢と対応

    2025-3-31

    ESGフロントライン:潮流を読む~SEC気候開示規則の弁護を放棄ー規制後退の中で問われる企業の姿勢と対応

    ※本記事は、ESG Journal編集部が注目のニュースを取り上げ、独自の視点で考察しています。 …
  2. 2025-3-27

    【GPIF発表】「優れた統合報告書」と「改善度の高い統合報告書」選定結果

    3月11日、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、国内株式の運用を委託している運用機関に対…
  3. 2025-3-24

    CDP、ESRS報告基準との対照表を発表

    3月18日、欧州財務報告諮問グループ(EFRAG)と国際的な非営利団体であるCDPは、欧州サステナ…

““登録02へのリンク"

ページ上部へ戻る