Boeing、航空機の脱炭素化過程を評価するツールを公開

7月18日、航空宇宙大手のBoeingは、ファーンボロ航空ショーにおいて、2050年までに商業航空業界がネット・ゼロ・エミッションを達成するために最も効果的なシナリオを示すことを目的とした新しいデータモデルツール「Cascade(カスケード)」を発表した。

主要大学との共同研究により開発された本ツールは、排出量を削減する能力を定量化し、航空業界の脱炭素化のための複数の経路を評価する。Cascadeは、水素・電気・持続可能な航空燃料(SAF)などの代替エネルギーの生産、流通、使用に必要な排出量を考慮し、様々なエネルギー源のライフサイクル全体への影響を評価する。

航空業界は、温室効果ガス(GHG)排出の大きな要因として注目されており、世界の排出量の2~3%を占めている。この数字は、対策を講じなければ、今後数十年間で劇的に上昇する可能性がある。航空機産業が気候に与える影響に対処するため、航空機の効率化、持続可能な航空燃料の開発、電気や水素などの低炭素またはゼロ炭素推進システムを利用した航空機の製造など、さまざまな取り組みが進められている。

Boeingは、2030年までに100%SAFで飛行可能で認証された民間航空機を提供するという目標を昨年初めに発表するなど、過去数年にわたり脱炭素への取り組みを進めてきた。2022年1月、 Boeingは先進的なエアモビリティ企業であるWiskに4億5000万ドル(約620億円)の投資を発表した。これは、現在ファーンボロで展示されている同社の電動垂直離着陸機(eVTOL)の開発推進が目的だ。また同社は、水素燃料電池と内燃機関を使用した航空機の実証実験を重ねている。

【関連記事】Boeing、電動垂直離着陸機(eVTOL)開発企業Wiskに500億円超を出資

【参照ページ】
(原文)Boeing Unveils Model to Show Best Routes to Zero Carbon Future
(日本語訳)Boeing、航空機の脱炭素化パスウェイを評価するツールを公開

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